DISC GUIDE その1
RAGING SPEEDHORN 『We Will Be Dead Tomorrow』 ZTT(2002)
ヘヴィー・ロック不毛地帯といわれた英国に風穴を開けた! ブラック・サバスの雰囲気と後期ブラック・フラッグの重さを継承し、絶叫するツイン・ヴォーカルが轟音を煽る。〈ヘヴィー・ロック〉というより、彼らの場合はロックがヘヴィーになっただけだ。(田中)
SINCH 『Sinch』 Roadrunner(2002)
グランジ終焉のころ、94年に結成された5人組。パール・ジャムやアリス・イン・チェインズに垣間見られたブルージーな部分を、現代風サウンドとエモーショナルな緩急で更新。グルーヴ追求というよりメロディー重視のニュー・メタル。クレジットはされているものの、打ち込み度数はかなり低め。(武山)
SLIPKNOT 『Iowa』 Roadrunner(2001)
もはやヘヴィー・ロックの頂点を越え、前人未踏の域に達した大傑作。ヴェノムやスレイヤー直系の初期型極悪スラッシュ/ブラック・メタルからの影響を、モロに受けたと思わせる暗黒地下メタル臭が充満。また、ブラスト・ビートも連打され、グラインド・コアの手触りもあり。(杉本)
CRAZY TOWN 『Dark Horse』 Columbia(2002)
99年のデビュー・アルバム『Gift Of Game』では、KRS・ワンがゲスト参加。当初ラップ・メタル側へのアプローチが目立っていたが、本作ではメロディー重視、しかもバラード多めと、勢いだけではなくなったバンドの成長に注目。ラップ・ヴォーカルも格段の進化を遂げている。(武山)
LIMP BIZKIT 『Chocolate Starfish And The Hotdog Flavored Water』 Interscope(2000)
ヒップホップとロックを巧みに操るフレッド・ダースト。この作品がシーンの流れを決めたと言っても過言ではないはず。映画「M:I-2」のテーマ曲でも話題になった本作。彼のラップに覆い被さる爆音というメリハリの構成が、大衆のハートを掴んだ。(田中)
SOULFLY 『3』 Roadrunner(2002)
ブラジリアン・ミュージックとヘヴィー・ロックを融合させてきたセパルトゥラを脱退したマックス・カヴァレラは、よりプリミティヴで鼓動を感じ取れる場所を求めてソウルフライを結成した。アグレッシヴさに拍車がかかり、簡素化したサウンドは魂の面でのブラジリアンを表現している。(田中)
DISTURBED 『Believe』 Reprise(2002)
ヘヴィー・ロック系のなかでもメロディーを重視しているディスターブド。ゴリ押しではなく聴かすことに重点を置いたサウンドは、演奏面でも確かなテクニックとセンスがあってこそのもの。〈ニュー・メタル〉と呼ばれる彼らのサウンドだが、その柔軟性を帯びた楽曲は聴く者を限定しない。(杉本)
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