杜の都・仙台は、東北圏のなかでも国内外のアーティストがツアーで立ち寄る機会の多いことも手伝ってか、独自の音楽文化が発展している。99年の結成から幾度かのメンバー・チェンジを経て、昨年セカンド・アルバム『DELTA FORCE』をリリースしたLONG SHOT PARTY。彼らは、こちらも昨年好内容のアルバムを発表したばかりのTIJUANA BROOKSとともに仙台のスカ/パンク・シーンを盛り上げてきたバンドだ。
「いまのメンバーになってパワーアップされた部分は、やっぱり演奏力ですね。頭の中にある〈やりたいこと〉をやれる幅が広がったというか。結成当初はスカコアやスカ・パンクをやるつもりで始めたんです。好きなんですよね、スカのパーティーっぽい感じが。でも、それが流行りだして、そういったバンドが周りにも増えてきちゃって……意識的にではなく、ただ〈変わったことをやろう〉っていう気持ちだけだったんですが、いまみたいなスタイルになって。気づいたらスカ・バンドとしてカテゴライズされなくなってた(笑)」(SASAJI:以下同)。
いまや全国32か所におよぶツアーを成功させるほどの支持を集めるようになった彼らだが、ごく最近、バンドを維持する経済的な理由から住居を東京に移したという。しかし彼らは、自分たちにとっての〈拠点〉はあくまでも仙台であると言い切る。
「バンドを始めて最初の頃、ツアーで東京やその他の地方へ行っても、お客さんが5人とか10人とかしか入らないのに、仙台なら300人入るみたいな。そういうなかでバンドをやってると、仙台のお客さんに対して特別な感情が芽生えてくるんです。愛とか感謝とか(笑)。で、お客さんもそれと似たようなもんを僕らに返してくれるんで〈ヨッシャー!〉って気にもなる。バンドをやっていくうえでのエネルギーとか、生きる力みたいなもんを僕らに与えてくれてきた。原点であり、出発点であり、バンドの基盤でもある……生みの親ですからね、バンドの。とにかく世界中でいちばん好きで、大切な場所です」。