霧の向こう側で鳴っている音像たち(2)
SMITH & MIGHTY
『Life Is...』 More Rockers/!K7(2002)
マッシヴ・アタックと並ぶブリストル代表、スミス&マイティの最新傑作。陰鬱なヒップホップ~ダブのカラーは色濃く保ちつつ、UKガラージやメロウなソウル風味までをパワフルに融合させたサウンドは他の追随を許さない。緊張感があるのに緩くて温かいのも独特。(高橋)
KOSHEEN
『Resist』 Moksha/Arista UK/BMGファンハウス(2001)
シングル“Hide U”のクロスオーヴァー・ヒットで脚光を浴びた、ブリストルの古参ドラムンベース・プロデューサー2人と紅一点シンガーによるトリオ、コシーン。日本盤化されたばかりの本作には近年のブリストル・エレクトロニック・サウンドが凝縮された形で反映されている。(青木)
THE MIGHTY QUARK
『Silverdale』 Play(2002)
ストックホルムのダブ・シーンを支えるマーク・オサリヴァンことマイティ・クォークの2作目。女性ヴォーカルを闇に溶いた静謐な曲からルーツ・レゲエ調、ハウス色の濃い曲……とヴァラエティー豊かに揺らぐ佳作だ。なぜかオアシスのアンディ・ベルもベースで参加。(出嶌)
SUPERSOUL
『40 Acres And A Moog』 Metatronix(2002)
いわゆるエレクトロニカ・ミーツ・ヒップホップのなかにはダビーな体裁のモノも多いが、これはトビっきりのダブ。マイアミ在住ジャマイカンによるプロジェクトだ。同地でもひときわ異彩を放つトリッピーな逸品で、深い残響に揺さぶられる冒頭の“Version”だけでもう酩酊。(出嶌)
3HEAD
『3Head』 BEAT(2001)
エイドリアン・シャーウッドも絶賛したという、UKのダブ・バンド。モア・ロッカーズなどのブリストル勢にも通じる攻撃性を、ゆったりした音の塊で包み込んでいくようなグルーヴの重厚さが堪えられない。緩やかなスウィング感や弦の導入など、隅々まで練られた細密画のようだ。(高橋)
KOSS
『Live Ring』 Sound Of Speed(2002)
2000ブラックのコンピ『The Good Good』にも参加していたクニのプロジェクト。本作は、青山CAYにおけるプッシュ・ボタン・オブジェクツらとのライヴ・セッションを中心としたミニ・アルバム。スケール感のデカいダビーなエレクトロニクスの煙にまかれます。(出嶌)
SPYLAB
『This Utopia』 Guidance(2001)
ハウスからモダンなダブ・ミュージックまでをリリースするレーベル、ガイダンスから登場したグラスゴーの2人組スパイラブ。このデビュー作は、暗澹たる空気が立ちこめる陰鬱な曲が不気味に並び、UK特有のジトジトした暗さにアルバム全体が支配されている。(青木)
VARIOUS ARTISTS
『Hi-Fidelity Dub Sessions 4』 Guidance(2002)
ガイダンスの名物コンピ最新作。〈Future Roots Riddims〉をテーマに、ホレス・アンディからグルーヴ・アルマダ、スミス&マイティまでが地続きに。エレクトロ、ディスコ、ジャズ、UKガラージ……あらゆる音楽に忍び込むダブのメソッドが非教条的に示されたオススメ盤です。(出嶌)
- 前の記事: 霧の向こう側で鳴っている音像たち