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特集

alpha メランコリアに包み込まれたオーガニックな歌

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年02月27日 16:00

更新: 2003年12月16日 19:34

ソース: 『bounce』 240号(2003/2/25)

文/出嶌 孝次



 マッシヴ・アタックと並ぶブリストルの幻惑家たち、アルファ。そのサード・アルバムは、これまで所属していたメランコリックを離れ、自分たちで運営するドント・タッチからのリリースとなった。周囲の環境が大きく変わるなかでの制作だったようで……。

「子供ができたり、新しい関係が生まれたり、金銭的に難しい局面もあったりして、生活のすべてがジェットコースターのように変わったよ。でも、音楽に対するアティテュードは同じで、楽しんで活動をしているんだ」(アンディ・ジェンクス:以下同)。

 メランコリック離脱の経緯については「ヴァージン側との契約が終了したのさ。次のアルバムでブレイクするだろうとみんな考えていたから、残念だったな。でも、正直な話、自分たちの音楽を自分たちでコントロールできる良い機会だと思ってるよ」とポジティヴに回顧。ちなみに、マッシヴとの親交は続いている模様で、「『100th Window』は制作初期の段階で聴いたけど、完成品はまだ聴いてないな。彼らとはスタジオやパブでときどき会ってるよ」とのこと。ともかく。結果論だが、今回の動きがアルファにとってプラスに働いたのは間違いない。新作『Stargazing』の出来はそれほどのものだ。ゆったり流れるドリーミーな音像はそのままに、より有機的な側面を強めたアレンジと女性ヴォーカルの絡みが無性に懐かしさを誘う。まさに星空を眺めるようなサウンドだ。

「アルバムのため、というより曲を書きためてから気に入ったものを選んだ。全体的にシンプルな曲作りをめざしていたから、結果的に曲も凄くナチュラルなものになって、聴きやすい作品になったんだと思うな」。

 また、「自分たちだけでやるほうが好きだし、アルファのサウンドになる」と言いつつも今回はライヴ・バンドと録音した“Elvis”を収録しているように、複数のシンガー陣も含めて周囲の人間たちといままで以上にコミュニケートしたからこそ、サウンドに人間臭さが増したのかも知れない。

「ああ、ヴォーカリストとの仕事はいつも素晴らしい経験さ。シンガーに歌われることで歌に命が吹き込まれるんだよ」。

 かようにして、ダブはオーガニックな歌を口ずさみはじめたのだ。

▼アルファのアルバム。


97年作『Come From Heaven』(Melankolic/Virgin)


98年のリミックス&B面曲集『Pepper』(Melankolic/Virgin)

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