WHAT'S HAPPEND IN DANCEHALL? 世界へのトランジット・ポイント、NYではなにが起こってるんだ?(2)
これぞ最高のエンターテイメント!!!
で、そのサウンド・クラッシュのなかで、世界最大規模の大会となるのが前出の〈ワールド・クラッシュ〉というコト。2002年10月にNYで開催されたこのガチンコ喧嘩大会も5回目となる。日本においては99年のMIGHTY CROWNの歴史的な優勝によって、その存在も認知されているだろう。
さて、その2002年の大会、戦前の注目点は2001年度優勝のベース・オデッセイをはじめ、トニー・マタロン、リッキー・チューパといったクラッシュ鉄人組に、初参戦となる日本代表RED SPIDER、レベル・トーン、マキシミニア、キング・アゴニーの4組がどう挑むかといったところだったが、フタを空けてみれば鉄人勢がよもやの苦戦で、最終的には弱冠21才、しかもたったひとりですべてCDプレイで挑んだカナダの新世代、伏兵レベル・トーンが優勝という思わぬ結果で終了。今回の司会/レフリー担当のエレファント・マン(!)が登場した時点での、その支離滅裂で爆笑な様子になにかが起こりそうな予感はあったが、さすがにこの大番狂わせは誰も予想できず。まさに今大会のテーマどおりの〈新しいスターの発掘〉が実現されることとなった。
結果はともあれ、やはり観る側として喰らうのは、その異様な緊張感のなか、約5時間に渡って繰り広げられる熾烈な攻防。各サウンドマンたちのアイデアが猛スピードで交錯し、意地と根性と男気と汗とプライドをブツけ合った男臭プンプンの泥臭い熱い闘いには拳を固くせずにはいられない。レゲエの侘び、寂び、粋、そしてそれを生むジャマイカのメンタリティーを知り尽くした者たちによる、濃密で純度の高い、高度なエンターテイメントはとにかく猛烈に魅力的なのだ。うーん、最高。しかし確かに激コア。だが、ゆえにおもしろい。そう、レゲエにはこんな世界もある。どっぷりとハマれ。
2002年のワールド・クラッシュの模様を収めたビデオ『World Clash 2K2 -The Seach For New Blood』(West Gate Inc/Mighty Crown Entertainment)