WARRIOR KING 現在もっとも注目を集める、誇り高き戦士王
ウォリアー・キング=戦士王。日本語にすると何やらゲーム・ソフトのキャラクターみたいだが、この戦士王はラフタファリアンにして注目株のコンシャス系シンガーの話。現在、23歳の彼は2001年にシングル“Virtuous Woman”でデビュー、間髪入れずに同名タイトルのアルバムを2002年にドロップしてあっという間にレゲエ・ファンの口に上る存在に。ちなみに、ラスタ系ダンスホール・レゲエ(※1)は90年代半ばよりずっと人気で、カテゴリーとして確立した感がある。シンガーでは、戦士王がいっしょに全米ツアーをしたばかりのルシアーノやシズラ、アンソニーBがいるし、DJに目を向ければバッドボーイやギャルネタ野郎から〈転向〉したケイプルトンやブジュ・バントンがいる。
新人のウォリアー・キングがそんな激戦区のなかでデビューからヒットを飛ばし続けている理由は、かなり単純。歌が非常に上手いのである。よく通る声、クリアな発音(パトワだが)で、「ファーザー(神/ハイレ・セラシエ)と共に書いている」と言うポジティヴかつ明快なメッセージで満ち溢れている詞を歌い上げる。成功の秘訣を本人に訊くと「ジャー(※2)が導いてくれるから」と即答。「もちろん、練習もたくさんして身体も鍛えているけれど、俺の身体は神の声を奏でる楽器だと思ってる。真実と正義を伝えるために音楽をやっているんだ」。
ジャー以外に彼を前向きにする理由を探るため、子供の頃について訊ねてみた。
「親が厳しくて、学校と教会にもちゃんと行かされたね。教会のクワイアでも歌ってたんだ。看護婦だった母ががんばってカレッジに行かせてくれて、機械工としての資格も取ったよ」。
だが、彼が最初に憧れたアーティストは、タイプとして正反対のバウンティ・キラーだそう。「13歳の時、〈バウンティ・ジュニア〉って名乗って、真似をしていたくらい憧れていた」と話す。デビュー直前に、このラスタ界の新星は、ジャマイカのねずみ小僧的ヒーロー、バウンティとの邂逅を果たしている。
「彼は〈いつも前向きでいろ、ほかのやつが何と言おうと自分のやり方を絶対に変えるな〉とかいいアドヴァイスをいっぱいしてくれてね。すっごく感激した」。
もう一人の大先輩、アルトン・エリスにも「君はすごくいい能力を持っているんだから、諦めないでずっとドアを叩き続けなさい。そうすれば、ドアはおのずと開かれる」と励まされたそう。ポジティヴな人の周りには、つねにポジティヴなヴァイブがあるわけだ。バッドになったときはすぐ、『Virtuous Woman』を聴くべし。