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特集

BOUNTY KILLER 何人たりとも寄せ付けない戦場の神

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年02月13日 16:00

更新: 2003年03月13日 18:05

ソース: 『bounce』 239号(2002/12/25)

文/一ノ木 裕之

 キャリアの波はあるにせよ、93年あたりの本格的ブレイク以来、ずっとジャマイカのトップを張り続ける、誰もが認めるNo.1DJ。ガンや女から政治まで、幅広くゲットー・ライフの現実感を歌にする一方、自分を誇らし気に歌うバッドマン・トークももちろんお手のもの。みずから〈Poor People's Governor〉(貧しい者たちの統治者)や〈War Lord〉(戦場の神)を名乗るのも彼だからこそ説得力がある。あるときはインチキな政治家にツバを吐き、またあるときは、売られた(?)ケンカは買うの定石どおり、マーシレス、ビーニ・マン、ベイビー・シャムら、彼に牙を剥いたDJたちを標的に。とりわけ後者のネタで、世の野次馬精神までも満足させるキャラクター化されたバッドマン的スタンスは、ヒップホップのメンタリティーとも呼応して、彼をジャマイカを超えたスターにした。バスタ・ライムスやフージーズ、ノリエガ、モブ・ディープらを迎えて96年、98年と続いて発表されたメジャーからのアルバム『My Experience』『Next Millenium』ではヒップホップとの相性も強くアピール。その後、彼の存在はロックのアーティストにまで聞こえることとなり、2001年にはノー・ダウトの楽曲にも参加。当の“Hey Baby”はビルボードのシングル・チャートでも大きなアクションを残した。とはいえその姿がもっとも輝くのはやはりダンスホール・トラックを背にしたとき。7インチでリリースされていた楽曲も交えながらそれぞれ20曲、二部作に分けてリリースされたアルバム『Ghetto Dictionary : Art Of War』、『Ghetto Dictionary : The Mystery』では幅を持たせつつも、ハードコア・ダンスホールのキモを随所に見せてくれている。ジャマイカでの活発なリリースとともに、彼の天下はまだまだ続きそうな気配だ。

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