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特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2003年01月30日 12:00

更新: 2003年03月20日 13:33

ソース: 『bounce』 239号(2002/12/25)

文/小林 雅明

俺が本当にやりたいのは……

ナズはかつて2パックに名指しでディスされていたが、“Get Urself Gun”は彼とノトーリアスBIGに捧げた曲となっていた。そういえば、ジェイ・Zも最新作『The Blueprint2』収録の“A Dream”ではビギーの“Juicy”を1ヴァースまるまるサンプルし、パックのマキャヴェリ名義曲“Me And My Girlfriend”をビヨンセとリメイクしている。ナズとジェイ・Zは、互いを意識しているようだが、それもそのはず。先ほど触れたラジオ絡みの一悶着の前段階として、ジェイ・Zがナズをディスった“Takeover”への反撃としてナズが“Ether”を用意した、という対立構図があったからだ。この2人のバトルは、ジェイ・Zが“Ether”への返答としてアンダーグラウンドで発表した“Super Ugly”の内容が、トップMC同士のバトルというには、あまりにもえげつないリリック内容(ジェイ・Zがナズの子供の母親と肉体関係を持った云々)だったため、ナズの勝利に終わった(ということになっている)。もちろんナズは、今回のインタヴューでもみずからの勝利を追認している。

「俺は神を信じてるし、オレたちみんな神の子だと思ってる。で、このタイトルが常にオレの頭を巡ってたんだ」という理由から名付けられた『God's Son』。なかでも、“Warrior Song”をプロデュースしてヴォーカルでも参加したアリシア・キーズについては「彼女は素晴らしいね。オレにいろんなことを教えてくれたよ」と言い、“Hey Nas”に参加したケリスについては、「大好きだよ。自分で曲も書くし、頭もいいし。ああ、彼女とは付き合ってるよ」と交際の噂をあっさり認めてくれた。100%アンダーグラウンド向けの曲と、アーティスト気質を持ったトップR&Bアクトとの共作曲、そして、その間に位置するラジオ。こうした状況のもとで、ナズはどこへ向かおうとしているのだろうか。

「俺はジャネットもJ-Loもアリシアもみんな好きだよ。オレが言いたいのは、ラジオで聴くような歌ってるみたいなラップはダンス・レコードで、ラップではないってこと。俺もそういうレコードを作るけど、俺がホントにやりたいのはそういうのじゃない」。

スーパースター、ナズの複雑な心境が見えてくるような発言である。

▼『God's Son』に参加したアーティストの作品。

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