BREAKBEAT PHUSION ブレイクビーツのさらなる融合
着々と各方面に浸透していった2001年のブレイクス・シーンだが、2002年はさらに飛躍。ドラムンベースは全英チャートを賑わし、さまざまなDJたちのツアーが実ったのか、USからも続々と作品が登場。ニュー・スクール系もプログレッシヴ・トランスやUKガラージとの距離をいっそう縮め、そのフュージョン度合はますます強まったようだ。細分化が進みジャンルの分類が困難なほどに混沌としてきた一方で、その芯にあるブレイクビーツそのものに注目が集まったともいえる。今後も融合を深めながら勢力を拡大していくことだろう。
SO SOLID CREW
『They Don't Know』 So Solid/Independiente
〈小洒落たもの〉というUKガラージ/2ステップへの固定観念を嘲笑うかのように自由奔放なふるまい。数あるダンス・アクトのなかでも際立ったキャラの立ち具合は、見た目のインパクトもデカいが、斬新で大胆なトラック、個性溢れるMC陣ともに実力も立派なもの。
DJ PATIFE
『Cool Step : Drum'n'Bass Grooves』 Sambaloco/Trama
DJマーキーと共にドラムンベース・シーンにブラジル旋風を巻き起こした張本人。タイトルの〈Cool Step〉よろしく、ブラジル音楽とジャズ色を打ち出した軽快なミックスは、ハードコアなサウンドが多いなかで、際立った存在感を示している。
THE STREETS
『Original Pirate Material』 679/Locked On
リリシストとして非常に高い評価を得ているマイク・スキナー。UKガラージやヒップホップに影響を受けたトラックは、チープなプロダクションが施され、20代前半らしい青臭く焦燥感を漂わせたサウンドと合わさって、妙な生々しさを感じさせる。
RONI SIZE, DJ KRUST, SUV, DIE & MC DYNAMITE
『Full Cycle Live』 Full Cycle
地元ブリストルで行われたフル・サイクル・クルー総出演によるライヴ・レコーディング! Vレコーディングス、ドープ・ドラゴンの音源も交えたキラー・トラックの連続で、鳥肌モノのかっこよさ! ライヴ作品の決定盤ともいえる大傑作!
SMITH & MIGHTY
『Life Is...』 !K7
ブリストルのもっともディープな面を映し出すスミス&マイティー。レゲエ/ダブ、ソウルなどルーツに根ざした音作りはどこか懐かしく、そしてどこまでも深い。本作ではドラムンベースに留まらず、UKガラージに通じる展開を垣間見せるなど、いまだ音楽的欲求は衰えず。
DILLINJA & LEMON D
『Big Bad Bass』 Valve
自前ながら世界最強のシステム、ヴァルヴ・サウンドが放つ超ド級のヘヴィー・ベース! 音によほどの自信があるのだろう、ハードコア・ジャングルを彷彿とさせる男気トラックはいたってシンプル。しかし余計な装飾がないぶん、音圧の凄さがダイレクトに響き渡る!
VARIOUS ARTISTS
『DJ Zinc Presents Bingo Beats Vol. 2 Mixed By Zed Bias』 Bingo Beats
ゼッド・バイアスをミックスに起用した、ビンゴ・ビーツが贈るガラージ・ブレイクスの見本市第2弾。ジンク、ハイプの別名義作品を中心に、ドラムンベースとUKガラージの橋渡しを担うトラックが目白押し。
ED CASE
『Ed's Guest List』 Killer Instinct/Columbia UK
2002年のUKガラージ・シーンでもっとも注目と期待を集めたプロデューサー、エド・ケイス。ダンス・トラックとしてのエッジを失わず、豪華ヴォーカル陣を起用することで得たポップスとしてのメジャー感からは、彼の並外れたバランス感覚が見て取れる。
RENNIE PILGREM
『Tribalizm』 TCR
2002年のニュー・スクール・ブレイクスを知るならこいつで決まり! 選曲/ミックスはシーンの重鎮レニー・ピルグレムなので品質保証付き。シーンの代表的なアーティストをほぼ網羅し、ダークに彩られたヘヴィー・ブレイクスを浴びるように体験させてくれる一枚。
PESHAY
『Fuzion』 Cubik
フィルターを効かせたヴォーカルとハウス/ディスコ・テイストのサウンド・メイキングが印象的な無敵のヒット・チューン“U Got Me Burning”をはじめ、近年のドラムンベースを象徴するソウルフルな作品が収録されたペシェイ入魂のアルバム。どの曲もフロア映えしそうなものばかり!
OXIDE & NEUTRINO
『2 Stepz Ahead』 So Solid/Warner UK
本隊ソー・ソリッド・クルーよりひと足早く発表されたこのセカンド・アルバムは、凄まじい勢いで進化を遂げる2人の成長記録をバッチリ押さえた内容。もはやUKガラージの域を越えたトラックには未来のブレイクビーツ像が見え隠れする。メチャ硬派な一枚。
ADAM F
『Drum And Bass Warfare』 Kaos
恐ろしくフロア・オリエンテッドでスリリングなトラックの上を、USの強者MCたちのラップが暴れまわる夢のような世界! これまでほとんど交わることのなかったトップ・チーム同士の共演にも涙すること必至! こんなリミックス企画ならいくらでもOKですよ!
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