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特集

カテゴリ : スペシャル

掲載: 2002年12月26日 10:00

更新: 2003年03月12日 20:32

ソース: 『bounce』 239号(2002/12/25)

文/狛犬、Masso 187um

メインストリームに相応しい勢い

 10年前のヒップホップ好景気(?)を思わせる盛況ぶりだった2002年だが、とくにメインストリーム・シーンの充実度は凄まじかった。ロッカフェラ、マーダー・インクといった盟主デフ・ジャム配給レーベルを中心とした東海岸、さらなる飛躍を図ったキャッシュ・マネー、ニュー・ノー・リミットら南部、ザ・ロウの不発もなんのその、アフターマスとドギースタイルの二大勢力時代へ突入を予感させる西海岸、そして中西部からは……ネリーにエミネム! 売れるべく人が売れた、出来スギな1年でしたね。(Masso)

LUDACRIS
『Word Of Mouf』
 Def Jam/Def Jam South
前作で天下を盗ったリリカル怪獣はこのメジャー2作目でさらにランクアップ。年間を通じて次々とシングルがカットされ、すべてヒットさせたのも凄い。また、2002年にはみずからのクルー=DTPも本格始動。まだまだ成長途中な感じがするのも頼もしい。(狛犬)

TIMBALAND & MAGOO
『Indecent Proposal』
 Black Ground/Virgin
2002年のティンバは、ここでダーティー・サウスを標榜したぬくい変態サウンドを捻り出した後、南部勢と組んでクラシックを連発。自身のレーベル、ビート・クラブも好調で、2003年も最注目の存在に違いない……っていうかとにかくレヴェルが違う!!(狛犬)

NATE DOGG
『Music & Me』
 Dogg Foundation/Elektra
客演王として名を馳せたにも関わらずヒップホップ的なアプローチは敢えて控えめに、というところに男を感じずにはいられない。ネイトの歌声を活かすためか、トラックもドス黒く統一することでハードボイルドなアルバムに仕上がっている。(Masso)

X-ECUTIONERS
『Built From Scratch』
 Loud/Columbia
ミスタ・シニスタが脱退した原因になったのかどうか、この初メジャー作は、MC多めでエンターテイメント路線をまっしぐら。リンキン・パークとの合体も賛否両論だったが、この豪腕ぶりならOKでしょ!! あと、ロブ・スウィフトのソロも素晴らしかった。(狛犬)

ANTIPOP CONSORTIUM
『Arrhythmia』
 Warp
IDMからファット・ビーツまでを掌中に収めた希有な三(四)角関係のラスト作。前年のEPで顕著になった各人のバラバラな嗜好が最後に偶然一枚になった感じ。彼らに続く次の(アンチ)ポップ・イコンを見つけられるのかどうか、アヴァン・ヒップホップの2003年にも注目。(狛犬)

CEE-LO
『Cee-Lo Green And His Perfect Imperfections』
 Arista
この御時世にゲストなしという素っ気なさでリリース。その強気の姿勢も頷ける、ヒップホップの枠にこだわらないソウル、ブルースなどなどを飲み込み制作された、実にファットなアス・ホール感漂う傑作に。強気とかじゃなく自然の成り行きだったのね。(Masso)

DJ SHADOW
『The Private Press』
 Island
ロックスターばりに神格化されて被った澱を落としたかのような、ごくシンプルなブレイクスが印象的。シリアスな風情のなかに地味なユーモアと渋い小技が品良く効いた大人のリスニング・ヒップホップだ。つまり、普通のシャドウは普通にカッコ良かったってこと。(狛犬)

YING YANG TWINS
『Alley』
 Collipark/In The Paint/Koch
“Say I Yi Yi”が日本でも大ブレイクし、全国区へノシ上がった双生児。ガンガンなアゲ曲だけではなく、スロウなトラックで感じさせる壮大なグルーヴも一度ハマると抜けれないはず。息の合った掛け合いに、折角の豪華ゲストも立ち入る隙ナシ。(Masso)

EMINEM
『The Eminem Show』
 Aftermath/Interscope
スキャンダラス/エンターテイメントな面ばかりが語られがちだが、実はリアル・ヒップホップ度は相当高い。MCとしての天才的な実力はもちろん、“Cleanin Out My Closet”を聴けばトラックメイカーとしても、もっと評価されて良いと思うはずだ。(Masso)

BIG MOE
『Purple World』
 Wreckshop/Priority/Capitol
リル・キキ、リル・フリップとH・タウン勢がメジャーで好勝負を繰り広げた2002年だが、なかでもいちばんのヒットはこの人。大舞台に行ったことでサウンドの幅が広がり、その結果モーの隠れた才能を見事に引き出した痛快作。早くも殿堂入り決定。(Masso)

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