最後まで追いかけてね!! ネクスト・フィリー発〈明日のクラシック〉を改めて完全ガイド!!(2)
THE PHILADELPHIA EXPERIMENT
『The Philadelphia Experiment』 Ropeadope(2001)
クエストラヴを中心にユリ・ケイン、クリスチャン・マクブライドらが集まったジャズ・プロジェクト。破綻の少ないジャジー・ヴァイブが漂うものの、ルーツが新作『Phrenology』で聴かせた深遠な音世界に通じなくもないエキセントリシティーがほとばしる瞬間も端々に。リミックス・アルバムと共に楽しみたい。(出嶌)
JAMAALADEEN TACUMA
『Groove 2000』 Pヴァイン(1998)
フィリーきっての超人ベーシストとルーツ(クエストラヴとブラック・ソートのみ)との共演作。ジャマラディーンが奔放に弾きまくり、クエストラヴがタイトに叩き、ブラック・ソートがノビノビ語り、その上に故グローヴァー・ワシントンJr(!)がサックスを注ぎ込む……リラックスしたフィリー・グルーヴが美しい輪になった瞬間の記録。(出嶌)
SCHOOLZ OF THOUGHT
『From Thought To Finish』 Full Blast(2002)
かつてスクラッチも在籍し、クエストラヴの後見のもと“In Liquid Form”でデビューしたルーツの弟分グループ。スクラッチの口だけでトラックを組み立てた“Now We Got You”と“You Need To Stop!!”がアヴァンギャルド……っていうかポップで最高。メンバー自身のプロデュース曲も極めてストリクトリーで、総じて力作。(出嶌)
BAHAMADIA
『BB Queen』 Gooveattack(2000)
ルーツが絡んだデビュー作『Kollage』から4年、イラデルフのヒップホップ・クィーンが放ったミニ・アルバム。コモン“Funky For You”の改作らしき“One-4-Teen”などソウルクエリアンズ系のメロウ・ビート曲が満載で、大半が非フィリー録音ながら音は激フィリー。インスト“Philadelphia”は2000年版“TSOP”と言っていいかも?(林)
PHILLY'S MOST WANTED
『Philly's Most Wanted』 Atlantic(2001)
フィリーのハード・ゲットーから登場した2MCのファースト・アルバム。イヴやグレン・ルイスのマネージメントを手掛けるマーク・バイヤーズがフィリーと他地域間との調整を図り、ネプチューンズに大半のプロデュースを依頼。ヴァージニア・ビーチから地元フィリーをレペゼンしてます。同郷のビーニー・シーゲルも参加。(林)
SCHOOLY D
『The Best Of Schooly D』 Jive
過小評価をいまだ免れていないスクーリーDは、フィラデルフィアをベースとした重要ラッパー。被ネタ使用では屈指の頻度を誇る“P.S.K.(What Does It Mean)”をはじめ、代表曲のおおよそすべてを収録したこのベスト・アルバムは、彼がどれだけの傑物だったかを知らしめてくれる貴重な記録。いまなお活動中の忘れがたい名MCだ。(JAM)
DJ JAZZY JEFF
『The Magnificent』 Lapster/BBE/!K7(2002)
いまをときめくATOJ総帥が、クリエイティヴ面で制約のない点に惹かれて英BBEの〈The Beat Generation〉シリーズからリリースした、初リーダー作にしてクインシー・ジョーンズ的な監督作。豪華なゲストの登場も耳を惹くが、現ATOJ所属メンバーの把握およびVを筆頭とした新たな才能のチェックにも重要な一枚。(yoshi)
MUSIQ SOULCHILD
『Juslisten』 Def Soul/Def Jam(2002)
“Just Friends(Sunny)”を始発点にフィリーより現れた天才の煌めき。リリックの紡ぎ方はラッパー的でありつつ、70年代にニュー・ソウルの偉才たちが採り上げたのと同様のテーマに挑んでいた。この2作目では、ATOJの四人衆とアクシス・ミュージックのコンビらが集結し、当時のネオ・フィリーの粋を詰め込んでいる。(yoshi)