Hit The Road To Next Philly(2)
ラリー・ゴールドに再会、そして……
そこで、まずは重要スポットがひしめくセンター・シティー(ダウンタウン)の北側へ。その昔、クエストラヴやキング・ブリット、アーシュラ・ラッカーらがたむろしていたクラブ〈シルク・シティー・ラウンジ〉やタッチ・オブ・ジャズ・スタジオの周辺をフラフラと徘徊。と、そんな感じでネオ・フィリー地帯の空気を吸い込みつつザ・スタジオへ向かうと、嬉しいことにオーナーのラリー・ゴールドが出迎えてくれた。朝10時から出勤(それとも徹夜?)とはオーナーの鑑と言うしかないが、多くの若手ミュージシャンが彼を慕ってやってくるのも、そうしたラリー(ストリングス・アレンジャー/チェロ奏者というクラシカルな肩書きからは想像できないほど、かなり陽気なオッチャン)の謙虚さゆえ、なのだろう。当日もシルク130の『Re-Members Only』にソングライトで参加していたビッグ・スポーン(モンテス・ロバーツ)というラッパーがいて、何やら親しそうにしていた。さすがは兄弟愛の街(!?)というか、誰でも受け入れるというオープン・マインドな精神はギャンブル&ハフの時代から変わらないようで、なるほど、いい音楽が生まれるわけだな、と納得。そして、スタジオの壁を埋め尽くすゴールド・ディスクを見てネオ・フィリーの隆盛に改めて感じ入る。ラリーの口からは来年BBEから発表されるリーダー作のことなど景気のいい話が次々と出てきたのだが、その日の午後には何とCHEMISTRY(そう、日本のです)のストリングス録りが行われるというではないか! ホント、ラリーさん大人気です。同スタジオの敏腕エンジニアであるジェフ・チェステックやカルロス・マルティネスも忙しそうに動き回り、とにかくホットな現場を目の当たりにして大興奮。最後にラリーさん、「さっきここにジェニファー・ロペスが来てたんだ。今日フィリーで映画のロケをやってるから見に行けば?」って、そんなあっさりと言われてもねぇ(笑)。