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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2002年12月19日 12:00

更新: 2003年03月20日 13:34

ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/林 剛

俺たちが何をやるか、予想もつかないだろ!?


 ネオ・フィリー云々と言っても、やはりこの人たちがいなければ始まらない。ルーツ。いまのフィラデルフィアを熱くしているアーティストがこぞって参加した〈ネオ・フィリー一大絵巻〉とも言える前作『Things Fall Apart』(99年)から3年、フィリー・シーンが急成長を遂げるなかで新作『Phrenology』が発表されることは、本人たちだけでなく、われわれリスナーにとってもひときわ感慨深い出来事である。80年代後半に地元の舞台芸術高校に通っていたクエストラヴとブラック・ソートの路上パフォーマンスから始まったルーツ。そんな彼らの〈ルーツ〉を、オリジネイターのふたりが、いま改めて振り返る。

「いつの時代でも誰かが現れて何らかの〈道〉を示す。俺たちがこのゲームに乗り出したとき、フィリーにはそれほどいい音楽的市場がなかったし、生演奏のヒップホップ・バンドに対しても道が拓かれていなかった。でも、俺たちはそういう障害を叩き壊して、フィリーのプライドってものを回復させたと思っているよ。この街には音楽的に豊かな遺産があるからな」(ブラック・ソート、MC)。

 やはり伝統ある音楽都市=フィリーで活動しているという自負はかなり強いようだ。

「この街はいろいろな種類の音楽が詰まったパレットみたいな感じで、ストリートを歩いてても、車に乗ってても、隣の家の壁の向こうからでも音楽が聞こえてくる。凄く恵まれていると思うし、精神的な影響は大きいよ。とくに70年代はフィリー・ソウルのピークだったし、俺たちも70'sチャイルドだしな。それがプライドに繋がっているんだ。一時は楽器を演奏することがクールじゃないって思われてた時代もあったけど、それがクールだとされてから、この街のプロデューサーやヴォーカリスト、スタジオ、それにインディーのレーベルも含めて、道が拓けていったわけさ。いまはいろんなジャンルの人たちが音楽を作りにこの街にやってくる。ストリングスを入れることだってできるしな。(前作から録音を始めた)ザ・スタジオには自分たち専用のスタジオもあるし、ゆったりしてて、ストレスフルな感じがしない。オーナーのラリー・ゴールドも全然気取らない人だし、家にいるみたいな感覚だね。あそこでは毎日のように新しいことが起こってるんだ。フィリーはいま、ホントに熱いと思うね」(ブラック・ソート)。

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