〈フィリー詣で〉の産物たち
ギャンブル&ハフもインタヴューで語っているように、フィリー・ソウル黄金時代には意外とも思える面々がフィラデルフィア・レコーディングを敢行している。まずは、ギャンブル&ハフ制作のもとラベルと組んでソウル・カヴァー集『Gonna Take A Miracle』を残しているローラ・ニーロ。まだ〈フィリー・サウンド〉が完全に確立する前の71年録音ゆえに、ノーザン・ビートも多いが、私生活でも仲が良かったというローラとパティの絡みは抜群。フィリー人気の爆発後にはまずデヴィッド・ボウイがシグマに詣で、エルトン・ジョンはトム・ベルと楽曲も共作しつつフィリー録音。ロバート・パーマーは『Double Fun』の半分をトム・モウルトンに委ねて華麗にキメた。他にもアリス・クーパー、ダスティ・スプリングフィールドもフィリーを詣でている。なお、ソウル方面のフィリー詣でを流行らせたのはウィルソン・ピケットで、他にもカーティス・メイフィールド、ジェリー・バトラー、ディオンヌ・ワーウィック、ウィスパーズらがフィリー・サウンドを求めた。さらには、あのヴィレッジ・ピープル“Macho Man”の強靱なリズム・セクションがフィリー詣での産物なのにもビックリ。
エルトン・ジョン『The Complete Thom Bell Sessions』(MCA)
ウィルソン・ピケット『In Philadelphia』(Atlantic)
- 前の記事: Illadelph Soul Brothers(2)
- 次の記事: サルソウルへと発展を遂げたフィリー・グルーヴ