Illadelph Soul Brothers(2)
O'JAYS
50年代後半にオハイオ州クリーヴランドで結成されたオージェイズ。結成当初は5人組でインペリアルやベルで録音していたが、69年にギャンブル&ハフのネプチューンからアルバムを発表。PIR契約後は、エディ・リヴァート、ウォルター・ウィリアムズ、ウィリアム・パウエル(77年に他界)のトリオとして再スタートし、名曲“Back Stabbers”を筆頭に、“Love Train”“For The Love Of Money”“Message In Our Music”などなど、ギャンブル&ハフの思想や美学を体現するグループとして数々のヒットを放った。エディとウォルターの激唱による掛け合いがとにかく凄まじく、80年代後半にPIRを離れてから現在に至るまで、その勢いは衰えていない。(林)
2 in 1のリイシュー盤『Voyager/Time Is Slipping Away』(Philadelphia International/Westside)
DEXTER WANSEL
PIRにアルバムも残すイエロー・サンシャインに在籍していたキーボーディスト。76年にアーティストとしても活動を開始、同年『Life On Mars』でアルバム・デビューした彼はPIRのパブリック・イメージとは異なる多様な音楽性で中期~後期のPIRを守り立てた才人である。シンシア・ビッグスとのコンビで織り上げた曲には傑作も多く、彼らのクレジットのもとにもうひとつのフィリー・クラシックの鉱脈があると言ってもいいほど。本人名義以外なら、ほとんど彼のアルバムと看做せるMFSBの名作『Mysteries Of The World』(80年)がまず挙げられる。ネオ・フィリー勢がこの人の作風にインスパイアされている証拠も同作が明かしてくれる。(JAM)
THE INTRUDERS
60年代後半にギャンブルから登場したフィラデルフィア出身の4人組。“(We'll Be)United”“Together”“Cowboy To Girls”をはじめ、野球や競馬、医学などをテーマにしたラヴ・ソングを歌っていた…ということで、ギャンブル&ハフの思想をいち早く体現していたグループとしても知られる。70年代に入ってからは洗練されたフィリー・サウンドに乗せて、“I'll Always Love My Mama”“I Wanna Know Your Name”といったヒットを連発。リード・ヴォーカルであるサム・ブラウンの気だるい感じの歌い方とドゥー・ワップの流れを汲むバック・コーラスとがこのグループの特徴で、聴けば聴くほどクセになる。(林)
バニー・シグラーの74年作『That's How Long I'll Be Loving You』(Philadelphia International/Right Stuff)
BUNNY SIGLER
ソングライター/プロデューサーとしてPIRのアーティストに楽曲を提供していたバニー・シグラー。50年代から歌手活動を始め、情熱的なハイ・テナーを武器に、パークウェイやネプチューンなどの地元レーベルに楽曲を吹き込んだ。71年のPIR入社後は、“Tossin' And Turnin”やオージェイズのカヴァー“Love Train”などのスマッシュ・ヒットを放ち、70年代後期にはサルソウルに移籍してインスタント・ファンクなどを手掛けている。90年代以降のPIR作品にも参加するなどいまも現役で活躍中のようで、ジャグアー・ライトにパティ・ラベル曲のカヴァーを勧めたのも、このバニーだとか。(林)
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