Four To The Philly この街にはいくつトピックがあるの!?(3)
フィリー産ヒップホップの世界
ジャジー・ジェフいわく「フィラデルフィアのシーンはすごく多面的なんだ。だから、ヒップホップといっても幅広いタイプのアーティストがいる」とのこと。当然のようにこの発言がこのコラムの結論なんですが、フィリーのヒップホップというと、やっぱりルーツ一派のイメージが強いはず。ルーツ以前のフィリー・ヒップホップ(こんな括られ方はもちろんなかったけど)でもっとも著名なジャジー・ジェフに続いて、DJキャッシュマネーが現れたからといってコスリ師の多い土地かといえば、そうでもないし。いまなお現役のスクーリーDのようなオールドスクーラーもいるし、いろいろです。近年は、フィリーのことをたまにレペゼンしつつも、それほど土着感をウリにしないアーティストが増えてきてます。ビーニー・シーゲルやイヴはNYのクルーで、〈フィラフォルニアのジガ〉なんて自称しているコラプトは西海岸で、それぞれがフィリー出身であることをアピールしているようにも思えますし、フィリーズ・モスト・ウォンテッドのサウンドがモロに南部モードだったり、メジャー・フィガズはオールド・スクールにも通じる路上感強めな集団MCものだったり、本当にさまざまなんですね。まあ、そんなのはどこの土地も同じよ、とか言わないで……。
そんななかで比較的ルーツに近いテイストを持つのが、フィリーのレーベルであるアントラからデビューしたスプークス(写真)。女性ヴォーカリストのミン・ジアを擁する彼らは、シャーデーとルーツの中間に位置するような、不思議な音楽性を持った注目のグループです。(轟)
スクーリーD『Funk 'N Pussy』(PSK)
フィリーズ・モスト・ウォンテッド『Philly's Most Wanted』(Atlantic)
メジャー・フィガズ『Figgas 4 Life』(Ruffnation)