こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

60年代以前 ハワイアン・ミュージックの源流(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2002年08月01日 18:00

更新: 2005年05月10日 20:49

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/岡本 ホーテン

 ハワイアン・ミュージックには欠かせない楽器のひとつであるスティール・ギター。この楽器の起源については諸々の説があり、ここでは省きますが、金属製(スティール)のバーを弦の上を撫でながら弾くところから命名されたということです。そのスティール・ギターの名手として名高いソル・ホオピイ(1902~53年)の華麗な演奏テクニックは、アメリカ本土でも高い評価を得、いまだにスティール・ギター=ソル・ホオピイの定義は崩されていません。

 ちなみにスティール・ギター同様にハワイアン・ミュージックには欠かせない楽器のひとつであるウクレレは1878年にポルトガルからの移民によって持ち込まれた〈ブラギーニャ〉という小型ギターが元になっています。また、ハワイアン・ミュージックといえば、〈スラックキー〉というギター奏法(スラック=緩める。ハワイアン特有のオープン・チューニングによる、名前どおりのたおやかな奏法)を忘れてはいけません。ハワイにギターがやってきたことについては、こちらもいろいろな説がありますが、一般的には当時、カリフォルニアから牛飼いとして呼び寄せられたメキシコ人によって持ち込まれ、チューニングを知らなかったハワイの人たちが試行錯誤の末、いいかげんなチューニングをして音楽を楽しむようになったのが、スラックキー・ギター奏法の始まりだそうです。

 最近、日本でも若い世代の女性たちに人気のフラはというと、1898年にハワイがアメリカ合衆国に50番目の州として併合されてしまうずっと前に宣教師としてやって来た白人宣教師たちによって弾圧(ハワイの西欧化を推進したカメハメハ二世が宣教師に同調し1824年にフラ禁止令を発布)された歴史があります。古代ハワイからの大切で神聖な伝統文化であったフラが彼らのキリスト教的価値観から見れば、非常に卑猥で、不道徳なモノにしか見えなかったのでしょう。しかし、それから50年後の1874年にカラーカウア王によって復活することができました。

 60年代になるとハワイ人の文化や伝統を見直そうという動きが出てきます。今までのフラも音楽も対西欧(観光ショウ)というスタイルがメインだったモノを考え直そうというものでした。こういったハワイアン・ルネッサンスともいえる出来事が、今日のハワイアン・ミュージックの発展へと、繋がってきているのです。

インタビュー