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特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2002年07月17日 20:00

更新: 2003年03月20日 15:06

ソース: 『bounce』 233号(2002/6/25)

文/木村ユタカ、村尾泰郎、米田貴弘

FILE 06 YEAH YEAH YEAHS



『Yeah Yeah Yeahs』(Witcita)

いま海の向こうでは(英とか米とか)、〈ストロークスに続く大型新人〉として話題沸騰のコイツら。ストロークスの名前なんて邪魔になるくらいの強烈なオリジナリティーが、このミニ・アルバムの段階でプンプン。ヘボいバンド・サウンドを内側から削りこむようなギターの響き。ゴキブリを悩殺するようなカレン・Oの歌声がたまらなくグラマラス。胸が……見えそうで見えん。(村尾)

FILE 07 THE PARKINSONS


ワンテイク(一発録り)の美学をバカ正直に実践しているパーキンソンズはイギリスの4人組。でもそのうち3人はポルトガル出身で、退屈な毎日に嫌気がさしロンドンにやって来た。そしてその闇雲なファイトであっという間にカムデンを制したのだ。素っ裸と小便が飛び交うことで悪名高い彼らのギグに驚いたNME紙は、今年2月の段階で〈今年いちばんのギグ!〉と言うしかなかったし、オルタネイティヴTVのマイク・ペリー(元気か!?)はギタリストのヴィクトールを、〈ミック・ジョーンズ以来最高のギタリスト!〉と評価した。そんな彼らのロックとロールは、まるで酔っぱらったシド・ヴィシャスだけで結成されたセックス・ピストルズ。いや、それよりタチが悪い。パブ・ロック~パンク・ロックの系譜のどこかを不法占拠しているようなワイルドさなのだ。オール・ワンテイクで録られたデビュー・アルバム『A Long Way To Nowhere』では、ギターは弾かれることに腹をたてて唸っている。メンバーもめいめいが勝手に唸っている。録音レベルはオーバーし、剥がれたしっくいみたいにノイズがバラバラと降ってくる。そんな彼らはいきあたりばったりのまま、今年の〈フジロック〉にも参戦。これが荒れずにいられるか!!(木村)

FILE 08 THE VINES


ロックンロールの〈エクスタシー〉はビートで感じられるか、それともメロディーで得られるか。いや、両者が同じテンションでせめぎ合う強力な曲こそ、僕らは〈エクスタシー〉を共有できる。そこにまるでティーンエイジャーの焦燥感に満ちた歪んだディストーション・ギターが爆発すれば、ロックは無敵だ。オーストラリアはシドニーの空の下で結成されたヴァインズにはそのすべてがある。かつてニルヴァーナのコピー・バンドをしていたという中心人物、クレイグ・ニコルズは、グランジ特有のダークな、肌に突き刺さるようなノイズ・ギターだけではなく、ビートルズ直系のメロディーラインを巧みにソングライティングに組み込む。ポップでスピーディーで荒々しいUKでのデビュー・シングル“Highly Evolved”は、たった95秒のナンバーながら、UKのチャートで初登場32位と注目を集めることに。しかし彼らはそんな刺激的な曲ばかりではなく、優しく包みこむようなバラードも聴かせてくれるのだ。元ジェリーフィッシュのロジャー・マニングがキーボードとしてゲストに迎えられていることからも、ヴァインズの〈エクスタシー〉があらゆる方向に向かって放射されていることがわかるハズ。(米田)

FILE 09 THE (INTERNATIONAL)NOISE CONSPIRACY


ハイヴスと共にスウエーデンのレーベル、バーニング・ハートで跳ね回っているのが、どうもこのコンスピらしい。スティール製の骨だけでできたようなシャープなサウンド。ベースの振りぐあい、キーボートのムードといい、ぞくぞくさせるほど黒い。そのタイトなサウンドから聞こえてくるのはロックンロールへの憧れというよりは渇き。ハイヴスの次はコイツらだゾイ!(村尾)

FILE 10 CATO SALSA EXPERIENCE


ノルウェーの曇り空を笑顔で引き裂く異形のガレージ・サウンド。ともすれば男性フェロモン優先のガレージ・ロックだが、脱力グルーヴィー・オルガンの女性メンバーがいることでそれは中和。ロックンロール=ギターの枠に収まらないアレンジもこのバンドの振り幅を大きくしている。カッコつけるよりも先に楽しむこと、そしてジャンプ! これこそカトー・サルサの核だ。(米田)

FILE 11 MILLIONAIRE


ベルギー発の5人組、ミリオネラ。ミューズからの熱いラヴコールを受け、彼らのステージのオープニング・アクトを務めたことで知名度を上げる。ストレートな激情型ギター・サウンドだけで彼らを語るのは片手落ち。グラム・ロック的手法、はたまた彼ら流ディスコ・チューンと、耳を刺激する新しいガレージ・アプローチ。ロックンロールのファイナル・アンサー!?(米田)

COLUMN リフレッシュしたベテランたちの門出もチェックね!
まずはメイク・アップのメンバーとニール・マイケル・ハガティが奇跡の合体を果たしたウィアード・ウォー。その独特のムードから醸し出されるディープなロックンロールは鳥肌モノ。そしてガレージ大将、ビリー・チャイルディッシュの新ユニット、バフ・メドウェイズの2作目は、なんとブラーのグレアム・コクソンのレーベルから! 変わることのないガリガリ音響が素晴らしすぎです。(木村)


左から、ウィアード・ウォー『Weird War』(Drag City)、バフ・メドウェイズ『Steady The Buffs』(Transcopic)

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