耳で聴いたピープル・トゥリー(2)
MARYLIN MANSON
『Smells Like Children Nothing』Interscope/1995
インダストリアル・オーケストラに護られた90年代のスパイダーズ・フロム・マース。彼らを従えてグラマラスに吠える宇宙人こそマリリン・マンソン。彼は“Golden Years”のカヴァーを経て、半人半獣に化ける直前のアラジン・セインのような『Mechanical Animal』に身をやつす。(轟)
SUEDE
『Suede』Epic/1993
〈グラマラス〉。その言葉が持つ意味(匂い)を、ふたたび90年代に甦らせたスウェード。〈ジギー〉の歌声にさらにパンクという毒を塗りたくり腰を振って熱唱するブレッド・アンダーソンとバーナード・バトラーのエロいギターとの絡みは、まさにボウイ&ミックの如し。英国ロックは美学で勝負!(村尾)
DAVID BYRNE
『Look Into The Eyeball Luaka Bop』Virgin/2001
ジャケそっくり!顔の角度とか、目の見開きっぷりとか。いや、なによりも音楽をひとつのアートとして提示してきたこの2人が、図らずも21世紀に共振してしまったということでしょうか。どちらのアルバムにもじっくりとこなれたエキゾチシズムいっぱい。両者の堂々たる〈異人〉ぶりもステキです。(村尾)
MORRISSEY
『The Best Of Morrissey』RCA
変体ヴォーカルを持って咲いたグラジオラスの系譜。ミック・ロンソンにプロデュースを仰いだ“I Know It's Gonna Happen Someday”は“Rock'n'Roll Suicide”の明白な翻案だったが、今度はボウイがその曲をカヴァー。寛大なボウイに敬意を表してなのか、最近のライヴでは“Drive-In Saturday”もカヴァーしてます。(轟)
JOAN OF ARK
『The Gap Jade』Tree/2000
『Hunky Dolly』をフェイヴァリットにあげ、いまでも定期的に聴き返してはいろんな〈発見〉をするというティム・キンセラ。殊勝なヤツです。でも確かに、ジョーン・オブ・アークの持っている、研ぎ澄まされた美しさ、そこに潜む不安定なテンションは、初期ボウイに繋がる〈脆さの美学〉。(村尾)
ピーター
『ベスト・オブ・ピーター』ソニー
デビュー当時は中性的魅力を放っていた両者だが、『Let's Dance』フィーバーに沸いたころのボウイは、女が〈抱かれてみたい〉男、ピーターは、男が〈抱いてみたい〉(少なくともオレはそうだった)男になっていた。ちなみにピーターがデビューしたのは、“Space Oddity”が発表された69年だった。(久保田)
AIR
『10,000 Hz Legend Record Maker』Virgin/2001
欧州型エレクトロニック・ミュージックの源流のひとつである『Low』が欧州全土に拡散して数十年。品の良い『Outside』のごときこの仏式庭園は、その影響下にありながら、異なる音楽的語彙で繊細な叙情性を見事にさまよわせている。ボウイの新曲“A Better Future”をリミックスしたのも当然。(轟)
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