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演技者としてのボウイ

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2002年07月11日 18:00

更新: 2003年03月13日 18:53

ソース: 『bounce』 233号(2002/6/25)

文/山口 珠美

 俳優ボウイの原点はリンゼイ・ケンプのパントマイム・クラスに入学した67年にさかのぼる。本物そっくりに自分を同化させるマイム(模倣)は、表現力を鍛えただけでなく、のちの変幻自在なロックスター=ボウイの基盤にもなった。長編映画デビューはニコラス・ローグ監督「地球に落ちて来た男」(75年)だ。地球人に痛めつけられる弱々しい異星人役を、ほとんど地でやってるところが切ない。いまやカルトSFだが当時は悪評まみれで、本人もあまり納得できてないそうな。まあローグの映像美と若かりしボウイの姿を拝めるだけでも十分なんだけど。続く「ジャスト・ア・ジゴロ」(79年)ではジゴロ役。監督がそのまんまボウイのイメージを乱用した感じだった。このままじゃ完全にイロモノ扱い、と思っていたそのとき、ブロードウェイの舞台「Elephant Man」(80年)主演の話が舞い込む。マイム経験が十二分に発揮された迫真の演技が絶賛されて、ロングラン上演に。俳優ボウイの本格的な活動はここから始まる。

 82年に、ヴァンパイア映画「ハンガー」でカトリーヌ・ドヌーヴと共演し、ドイツ映画「クリスチーネF」では、本人役としてライヴ・シーンに登場し、サントラには“TVC15”“Station To Station”“Heroes”などを収録。サントラのみの参加ではジョルジオ・モロダーと組んだ『Cat People』が話題になる。そして、大島渚監督作品「戦場のメリークリスマス」(83年)のセリアズ役で日本人にもボウイの名は浸透することになる。大島監督の美意識が如実に表れた内容よりも、坂本龍一とのキスシーンばかり騒がれてた気がするけど。そんな『Let's Dance』以降のボウイのはっちゃけぶりは「ビギナーズ」(86年)で爆発する。まだ可愛らしかったパッツィ・ケンジットの隣には、タイプライターの上で歌って踊る角刈りボウイの姿が……。テーマ曲“Absolute Beginners”もノリノリです、はい。「ラビリンス/魔王の迷宮」(86年)だと、魔王役はともかく、サントラは全曲ボウイによる書き下ろしだ。

 俳優業も板についてきた92年には「ニューヨーク恋泥棒」でコメディーに挑戦。サントラ『The Buddha of Suburbia』(93年)ではプロデュースを手掛ける。そして、憧れのアンディ・ウォーホルを演じた「バスキア」(96年)は、見た目はさておき、一挙一動にこだわった熱演に愛を感じたなー。あとゴールディーと共演した英国ギャングスタ映画「Everybody Love The Sunshine」(98年)ってのもありました。……と、SFからヒューマン・ドラマまでをこなすようになった、俳優ボウイ。今後は55歳ならではの渋め路線でスクリーンにも登場していただきたいものです。

ボウイの楽曲を収めたボウイ出演作のサウンドトラックを紹介。

ボウイ出演作のビデオ/DVDを紹介。


「地球に落ちてきた男(完全版)」(バップ)


「ツイン・ピークス ローラ・パーマー最後の7日間」(パイオニアLDC)

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