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特集

トータル・アーティストとしてのボウイをインスパイアした異文化、異国

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2002年07月11日 18:00

更新: 2003年03月13日 18:53

ソース: 『bounce』 233号(2002/6/25)

文/ダイサク・ジョビン

 デヴィッド・ボウイの劇作家/小説家/映画監督的な資質からくるトータルで見た芸術表現から窺える、主だったいくつかの異なるカルチャーに触れてみたい。

 まず、10代のボウイに決定的な影響を与えたのが、50~60年代NYという街で起こったジャック・ケルアックやウィリアム・バロウズといったビートと呼ばれる作家たちによる文芸ムーヴメントだった。そのビートの影響でポップ・ミュージックに〈詩〉を持ち込んだのがボブ・ディラン、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードといったNYのミュージシャンたちで、ボウイは彼らに多大なる憧れとシンパシーを持ち、60年代後半~70年代前半の作品には彼らからの影響が色濃く表れている。

 そして『Young Americans』前後にボウイが急接近したのが、こちらも10代の頃から強い愛着を持っていたアメリカのブラック・ミュージックで、ジェイムズ・ブラウン、バリー・ホワイトなどによるソウル~ファンク~ディスコだった。ハーレムのアポロ・シアターをはじめ、NYのライヴハウス、クラブ、ディスコに足繁く通った後、彼はルーサー・ヴァンドロス、カーロス・アロマーといったミュージシャンとのコラボレーションをスタート。彼いわく〈プラスティック・ソウル〉という新たなサウンドを築き上げる。

 NY、LAでのド派手なエンターテイメントの世界に疲れたボウイは、クラフトワークやタンジェリン・ドリームといったシンセサイザーを多用する新しい電子(テクノ)音楽が生まれていた、〈ヨーロッパ的矛盾と退廃の街〉ベルリンへと逃避する。そこで、ドイツ印象派の絵画、デカダンやファシズム(ナショナリズム)の美学、フリッツ・ラングなどの映画、近くのトルコ人街の文化などなどをモチーフに、『Low』『Heroes』といった作品を生み出す。

 そしてもうひとつ挙げておかなければならないのが、ビートを通して深く影響を受けていた禅(仏教)をはじめ、歌舞伎・能、三島由紀夫などの文学といった日本文化であり、それは〈ジギー・スターダスト〉からYMOへのシンパシーまで、いつの時代にもボウイのアートに多大なる影響を与え続けている。


YMOの79年作『Solid State Survivor』(EMI)

文中に登場したアーティストのアルバムを紹介。


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