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 UKハウスのベテラン・プロデューサー、グラント・ネルソンの2ステップ版プロジェクトがバンプ&フレックスだ。ケリスやディオンヌ・ラキームなどR&Bシンガーのリミックスを大量に手掛け、その鮮やかな職人ぶりで知られる彼のスタイルは、とことん踊らせてくれる〈タフ〉で〈バウンシー〉なグルーヴが特徴的だ。

 「もともとUSのハウスがすごく好きだったんだ。でも何か物足りなかったんだ。もっと〈バウンス感〉が欲しくてね。まぁ、マイアミものとかはあったんだけど。UKガラージは、96、7年頃に今のかたちになっていったよね。僕もその頃からこの音楽に惹かれた曲を作るようになったんだ。これは自然の流れだけどね」。

 グラントは現在30歳(意外に若い?)。ハウスやドラムンベースのシーンにも関わってきた彼に、〈UKならではのソウル・ミュージック〉についての考えを訊いてみた。

「やっぱり、R&Bの要素がいちばん強いよ。それとレゲエ……。でも、僕はレゲエが嫌いなんだ(笑)。ハードなダンスホールものには好きなのもあるけど、ラヴァーズ・ロックとかは僕には大人しすぎるのさ」。

 極太のボトムの格好良さで同じく人気を集めるウーキーが、レゲエ直系のベース・サウンドに入れ込んでいるのとは対照的。へヴィーにうねるウーキーのUKガラージ・サウンドと、跳ねまわるグラントのサウンドの違いもおもしろいところだ。さて、ゴツイ外観のわりに(笑)驚くほど無垢で美しいメロディーを作る彼の音楽的バックグラウンドは?

「それは、ホントにたくさんあるからなぁ(笑)。あえて挙げるなら、スティーヴィー・ワンダーとかアース・ウィンド&ファイアだね。とくにモーリス・ホワイトが大好きだ。彼の曲はどれも素晴らしいよ」。

 さて、グラントの近況はこんな具合だ。

「たくさんのリミックスが待機中だよ。リバティー・エックス、ビヴァリー・ナイト、アーキテクスのリード・シンガー、ナナの初ソロ曲とかね。それと、バンプ&フレックスとしてのファースト・アルバムを作ってる。凄いビッグネームのシンガーも参加する予定だよ。でも今はまだ教えられないんだ、ゴメン。本当にみんなを驚かせたくてね(笑)」。



バンプ&フレックスのプロデュース/リミックス作品。左から、ディオンヌ・ラキーム“Sweeter Than Wine”(Pure Silk)、ラバーネック“Keep On Giving Love”(City Rockers)、ミスティーク“B' With Me”(Telstar)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2002年06月12日 16:00

更新: 2003年03月13日 18:59

ソース: 『bounce』 232号(2002/5/25)

文/池谷 修一

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