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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2002年05月16日 12:00

更新: 2003年03月12日 18:17

ソース: 『bounce』 231号(2002/4/25)

文/酒井 透

伝統と流行の狭間で、独自の音楽をクリエイトするセネガルのラッパーた

奴隷貿易によって、アフリカから無理矢理世界各地へと運ばれていったアフリカ人たち。彼らが産みだし、その土地で発展していった音楽スタイル――ジャズ、ロック、レゲエなど――が逆輸入され、これまでもアフリカの音楽を刺激してきた。そしていま、アフリカ各地で若者を惹きつけているのがラップだ(以下、便宜上〈ヒップホップ=ラップ〉とさせていただく)。日本でも日本産のラップがごく普通にラジオから流れるように、アフリカでも現地産のラップが聴けるワケだ。例えば、かつて日本でも注目されたガーナのハイライフは、ヒップホップと結びつき〈ヒップライフ〉と呼ばれている。

音楽大国として知られるセネガルでも状況は同じだ。祝日になると街のあちこちでパーティーが開かれ、爆音で音楽を流しつつ老いも若きも関係なく人々が踊りまくる光景を目にするが、その音楽は宗教的なモノから、ンバラといったポピュラーなモノまで幅広い。そのなかで、ごくたまにだが、ラップもかかるのだ。ラジオをひねれば普通に現地のラップが流れてくる。また、私が「ラップが聴きたいんだけど」と現地の若者に訊ねると「俺のフリースタイルを聴くか?」といきなりラップする男にも何人か出会った。ラップを支える音=トラックも、昔は単純なサンプリングだけのものが多かったが、重いビートにコラの音を散りばめたり、バラフォンをあしらったりと、ここ最近は緻密な打ち込みができるプロデューサーも現れてきて、かなりおもしろくなってきている。また、ユッスー・ンドゥールをはじめとするンバラのアーティストをフィーチャーしたりと、ラップを聴かない人でも興味をそそられるものも少なくない。

さて、現在日本で入手できるコンピCDを中心に、有名なアーティストに軽く触れてみよう。まずユッスーのレーベルからリリースされているコンピレーション『Da Hop』。フージーズのワイクリフ・ジョンやユッスーを招いて、豪華なアルバムをリリースしているビィドゥ・ブゥ・ベイスや、レゲエもこなす元気なスタイルで人気の3人組、ダラJなど有名どころを収録。しかしながらこのコンピは、セネガル・ラップのパイオニア、ポジティブ・ブラック・ソウルが入っていなかったりする。で、そのへんも収録されているのが『Africa Raps』。米国産にも匹敵するバウンスものを聴かせるピー・フロイス、現地でいまいちばん人気があるダディ・ビブソン、自身のアルバムではオマール・ペンを招いたりしているCBVなどが収録されていて、地元ラジオなどで聴ける音を求めるならば断然こっちか。なおこれらには収められていないが、他にもプレイゼィ、パコテイといった有名なラッパーはたくさんいて、みんなアメリカ的な音からセネガルの音への脱皮を図っている。多分、シーンがホントに凄くなるのはこれからなのだろう。現在進行形の生の音楽、要チェックです。

セネガルのラップ・シーンの現在を伝える作品を紹介。


コンピ『Da Hop』(Jololi)


『African Raps』(Trikont)

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