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カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2002年05月16日 12:00

更新: 2003年03月12日 18:17

ソース: 『bounce』 231号(2002/4/25)

・西部――マリ、ギニア、ナイジェリアなど

西アフリカはアフロ・ポップが生まれた地域であり、現在でも伝統的な音楽とポップな音楽が共存していて、ルーツに根ざした力強い音楽に溢れている。西アフリカぬきにはアフリカ音楽を語れないだろう。

まず挙げなければならないのはコラと呼ばれる弦楽器だ。大きな半円の瓢箪に棹を指し、21本の弦を張り両手の指で弾いて音を出すこの楽器は、ハープを連想させる華麗で上品な音色が印象的で、日本でもファンが多い。

また、同じく最近日本でも人気が高いジェンベ(またはジンベ)と呼ばれる打楽器も、重要な楽器のひとつだ。コンガの下部をぎゅっと絞ったような胴体に牛などの動物の皮を強く張り、パーンと耳を突き抜けるような乾いた音を出す。いまや世界中の音楽のなかから、コンガと同じぐらいその音を聴くことができる。

マリやギニアではバラフォン、ガーナではシロフォンと呼ばれているアフリカ式木琴もなくてはならない存在だ。鍵盤の下にビリビリとした音を出すために、蜘蛛の膜などを貼り付けた小さな瓢箪の共鳴体をぶら下げているもので、これが素早いフレーズとあいまって、独特のグルーヴ&トランス感を生み出す。バラフォンやジェンベなどを中心としたファラフィナのアンサンブルを聞くと、伝統楽器ばかり使っているのに、そのモダンで洗練された音楽性に驚かされるばかりだ。

これらの三大民俗楽器に加えて最近注目されはじめている楽器といえば、まずはユッスー・ンドゥールのバンドでも使われているサバールという打楽器だ。ユッスーの音楽はンバラと呼ばれるウォロフ族たちの伝統的パーカッション音楽であり、サバールはその中心的存在だ。たびたび来日しているドゥドゥ・ンジャエ・ローズがそのマスターとして知られているが、左手に木のバチを持ち、つんのめるような連続するアクセントが特徴のンバラにピッタリのリズムを叩き出す。

マリからも個性的な楽器が登場してきている。もともとは秘密結社的な猟師たちのあいだだけで演奏されてきたドンゾ・ンゴニというコラに似た楽器を改良して、音楽好きの若者たちが演奏し始めたカマレ・ンゴニというマリ南部ワスル地方の楽器がそれだ。6弦という限られた音域のなかでフレーズをループさせながら、クールなトランス感覚を生み出すカマレ・ンゴニは、これからもっとも注目されそうな楽器である。

アフリカの多くの楽器は、単なる楽器としてではなく、言葉のように使われたり、治癒(ヒーリング)に使われたりと、人々の生活に密着した、生活用品としての側面が強い。ナイジェリアのヨルバ族のトーキング・ドラムなどは、日本の鼓と同じように張ってある紐に力を加えることによって、さまざまな音程を言葉のように出すことができる。同時にこの楽器は宗教的儀式にも欠かせない存在で、言葉、つまり音を出すことはそれだけで聖なることにもつながっていくのである。アフリカの楽器の持つ力強さの奥底には、私たちの想像を超える歴史と文化が潜んでいるのだ。

アフリカ西部の音楽を聴ける作品を紹介。

・南部――ジンバブウェ、南アフリカなど

南部アフリカの音楽の中心地はジンバブウェと南アフリカだが、ジャズの影響が強かった南アフリカに比べ、ジンバブウェではショナ族の伝統音楽が力強いポップ音楽を生み出した。

ンビーラと呼ばれるショナの親指ピアノは単なる楽器という存在を超えていて、祖先と会話する時に弾かれるなどショナの象徴となっている。また、ンビーラの鉄弁は厚めなので、力強い音が出る反面、奏者にもかなりの力が要求される。それに、ミニマル的な要素が特に強く、徐々にフレーズを変化させていくその音楽性は現代音楽のはるか先を行っている感さえある。

地域的には南部アフリカに入るが、インド洋に浮かぶマダガスカルやレユニオンといった島々には、アジアとの繋がりを感じさせる独特の音楽が存在している。ヴァリハと呼ばれるマダガスカルの弦楽器は、竹筒の周りに弦を張り、両手の指でそれを弾く。日本の琴にも似たその繊細で上品な音色と複雑なリズムの絡みは、アジアとアフリカのミックスそのものだ。


ドゥミサニ・マライレ&エファット・ムジュール『Shona Spirit』(Music Of The World)

アフリカ南部の音楽を聴ける作品を紹介。

インタビュー