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特集

ニール・ヤング インタビュー(2)

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2002年05月02日 10:00

更新: 2003年03月12日 18:17

ソース: 『bounce』 231号(2002/4/25)

ヤングは燃えているか?

――新作のアルバム・タイトル『Are You Passionate?』についてですが、どうしてあなたはここ何年も、そんなに人生や仕事に対して燃え続けてるのでしょう?

「それは本当にわからないな。俺はそういうふうに生まれついて、自分にとっては性分みたいなものだから。まあ、ひとつ言えるのは変化が必要なときが来たなら、俺はそれをためらわないってことだね。もし別れ道にいて、どちらに行くべきかわかっているのになにかが邪魔をして、うまく前に進めないとき、道を変えなければ行けないときに、変化が生まれるってことになる。でも、結局その変化が自分を燃やし続けることになると俺は思うんだ。そのおかげで自分がやっていることを継続できて、やがて報われ、満足し、先に進み続けることができる。ピカソだってそうやって80か90 歳くらいまで描き続けただろ? だからもし、なにかに行くべき道を止められたからといって、意地になって同じことをやってても楽しくもなんともないからね」

――今回、ブッカー・T&ザ・MG'sといっしょにプレイしているけれど、彼らとオールド・スクールなR&Bアルバムをやるってアイデアはどこから来たの?

「このレコードはすごく出来が良くて誇りに思ってるよ。本当にすべての音が気に入ってるんだ。でも実際、これらの曲を書き始めたのは、このレコーディング前にクレイジー・ホースとセッションしている最中だった。そこで4、5曲書いたんだ。それからブッカー・T・ジョーンズ、ドナルド“ダック”ダン、スティーヴ・ポッツ、フランク“ポンチョ”サンペドロとレコーディングをスタートしたんだけど、曲は発展し続けて、出来上がったときにはちゃんとすべてが収まるべきところに収まったって感じだったね。俺はただ流れにまかせて進めただけさ。なにが自分を心地良くさせるのかわかってたし、それに今回はギターをサックスのようにプレイしたいってこともわかっていた。だからギターをプレイしていたときはまるでホーン・プレイヤーになった気がしてたよ」

――そしてあなたはクラシックなR&Bサウンドに踏み込んだ。

「音が求めているものがなにかはっきりしているとき、それは何年も昔から定義されてきたサウンドみたいに、クラシックとでもいえるような明確なスタイルをすでに持っているんだ。だから俺はただ音が求めるままにプレイした。そして自分が持っている音楽のキャリアや音楽知識から使えるすべての要素をそこにぶち込んだんだ。俺はブルースやR&Bが昔からずっと好きで、それは俺が最初に聴いた音楽でもある。10 歳のとき、カナダのウィニペグにいたんだけど、シカゴのラジオ・ステーションをよく聴いてたよ」

――それってWLS局のこと? 僕はインディアナポリスで育ったんだけど、小さなラジオでその局をよく聴いてた。

「そう! 南西部のどこかで放送されてた別のステーションも聴いてたけど、それもメガワット・ステーションだったな。つまり俺は初期のR&Bや偉大なロックをラジオで聴いて育ったんだ。最初に買ったレコードはジミー・リードのアルバム。彼のレコードは全部持ってるよ。彼のレコードを聴いて、俺はギター・プレイを覚えたんだ。オールディーズのステーションも聴いてたな。モータウンもいっぱい聴くからね。あんまり人が聴かないようなオリジナルのモータウン・サウンドをね。そこでは古いR& Bなんかも流れてるんだ。しかも、いまでは入手不可能なサウンドがね。でもいまのR &Bのラジオ・ステーションではそういったモノは聴けない。新しいR&Bもちゃんと地位を築いててクールだと思うけど、R&Bのルーツを聴くときほどの感動はないね。もちろんブッカー・T&ザ・MG'sのレコードは昔から大好きさ。ほかにもレッドベリー、ハウリン“ギター”ウルフ、ハウンドドッグ・テイラーみたいな素晴らしいプレイをする初期のブルース・アーティストたちを愛してる。それからキャンド・ヒートで歌ってたヤツもすごく好きだね。彼は素晴らしいシンガーで、素晴らしい声の持ち主だよ。素晴らしいブルースの声。彼の名前は覚えてないんだけど(編集部注:ボブ・ハイト)、でもそういった音楽は大好きだね。彼らみたいには歌えないけど、でも俺はこれまで楽しみながら俺自身の曲を作ってこれたと思うよ」

――じゃあ“Differently”では〈これからはいままでと違った生き方ができるかもしれない〉という内容のことを歌っているけれど、もし可能ならどんな風に生きてみたいと思う?

「うーん、そんな時間はないね! 実際俺がこれまで選んできた道がハッピーなのさ。すべてのチャンスが思いどおりだったわけじゃない。もちろんダメージは少なければいいと願っているけど、いままでしてきたことを、なにか違うようにやりたいとは思わないね」

注1:2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件に対して、9月21日に全米4 大TVネットワークで放送されたチャリティー・イヴェント。ブルース・スプリングスティーンや、U2、マライア・キャリーなど、豪華アーティストが出演、ここでニール・ヤングはジョン・レノンの“Imagine”を歌った

注2:ハイジャックされた機内で、被害を最小限に押さえるために乗客が犯人に反抗。飛行機はペンシルヴァニア州郊外に墜落し、45人の乗客の命が失われた

*本稿は、PULSE4月号にて掲載された記事を再構成のうえ転載しました

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