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特集

〈女〉を激しく生きる(た)シンガーたち、そのあまりに激しく燃えて……

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2002年04月18日 05:00

更新: 2003年03月13日 18:06

ソース: 『bounce』 230号(2002/3/25)

文/桑原 シロー

 奇矯な振舞いの数々から〈ピメンチーニャ〉(とんがらし)なるアダ名をつけられたエリス。ゲームに負けてテーブルをひっくり返した直後に、鼻唄うたいながら編み物をしていたなんていうモーレツなエピソードを思い出し、エリスになにが起こったか? と、スピーカーのチャーミングな声の向こうに思いを馳せる。エリスの幻想と遊ぶときはいつも、両頬にひりりとした感覚が疾る。惚けた俺の顔はぴしゃりとやられて、だらしなく涎を垂らす。以下、自棄に辛い後味を残す女たちの系譜。

米ロック界のラクエル・ウェルチこと、ジャニス・ジョプリン。苛烈な生きざまはドキュメンタリー映画「ジャニス」にてドラマチックに描かれている。レッドホット・チリ・ペッパーな唾を散らしながらコズミック・ブルースを歌った彼女だが、歌をすぱっと斬れば断面から血が流れる、という印象がエリスの音楽と重なるものがある。ジャニスが自身を見つめる冷静な目を持ち得ていたら、という想像を働かせつつ、フィオナ・アップルを聴くことがあるし、血液の量の多さを感じさせ頼もしくさせられる点でいえばアニ・ディフランコを思い出すことも多い。アメリカを揺さぶる(った)女たち。

英ロック界のベティ・デイヴィスこと、マリアンヌ・フェイスフル。60年代のあまりにキュートなスタイルから現在への変貌。上質紙からサンドペーパーへ。おぉ、酸っぱいクライシス。だが、〈悲しみよこんにちわ〉しちゃってからの数々の名作には、本来ロック・ミュージックとは害毒であることを思い起こさせる力が備わった。同様のことで、ニコの姿が頭を過る。駆け巡るヤニ臭いキスの味。

ジャズ界の高島礼子、綾戸智絵。彼女の歌におけるタンカの切り方はエリスっぽく、同時に両者の声には空の寝床を想わせる柔らかさもある。ボザノヴァ仁義に人情ゴスペル。そんな彼女たちのビンタはいつも優しい。

文中に登場するアーティストの代表作を紹介。

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