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特集

ELIS REGINA

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2002年04月18日 05:00

更新: 2003年03月13日 18:06

ソース: 『bounce』 230号(2002/3/25)

文/国安 真奈

エリス・レジーナ


ブラジルを代表する女性シンガーであり、年を追うごとに評価を高めている<麦藁帽子の少女>エリス・レジーナ。まるで太陽のように力強く輝き溢れるその歌声は、ボサノヴァと次世代の音楽との架け橋となり、ある時は人々を慰め、ある時は多いに勇気づけた。そんな彼女が逝ってから今年で20年。ブラジル音楽を取り巻く状況も大きく変わりつつある現在、彼女の歌は絶えることなく、ますます力強く鳴り響いている。だからエリス、いま一度微笑んで……

エドゥ・ロボ“Upa Neguinho”“Reza”、ジルベルト・ジル“Lunik 9”、ミルトン・ナシメント“Cancao Do Sal”“Caxanga”、イヴァン・リンス“Madalena”“Cartomante”、ジョアン・ボスコ“Mestre-sala Dos Mares”“Bala Com Bala”……。

ブラジルのポピュラー・ミュージックに親しんでいる音楽ファンにとっては、このどれもが馴染み深いアーティスト名・曲名だろう。エドゥ・ロボ作品については、特にブラジル音楽ファンでなくても、最近のクラブ・シーンを介して耳にする人も多いかもしれない。また、上記のナンバーにアントニオ・カルロス・ジョビン“Aguas De Marco”、マルコス&パウロ・セルジオ・ヴァーリ“Preciso Aprender A Ser So”や“Terra De Ninguem”を加えたとしたらどうだろう? ボサノヴァ・ファンにとっても、親しみが増すのではなかろうか。

こうした名前はどれも、エリス・レジーナがレコーディングしたことで、あるいはステージで歌うことで世に送り出され、強烈な記憶として人々に植えつけられていった曲だ。それは決して誇張ではない。当時すでに大御所だったジョビンを除いて、無名のコンポーザーだった彼らにいち早く注目し、積極的にその作品を採り上げ、シンガー・ソングライターとしての活躍の場を与えたのは、エリス・レジーナだった。しかも、ここに挙げた曲名は、当の作者による録音よりもエリスのヴァージョンのほうで知られた楽曲がほとんどであり、そのほんの一部でしかない。

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