ポケット・シンフォニーと巡る不思議な世界旅行
〈箱庭〉とは、その出自を考えれば〈ポケット・シンフォニー〉なんて意訳も成り立つだろうか? ポッケのなかのメロディー、ハーモニー。そこに手を 忍ばせれば、僕らは違う位相を手にできる。そして、そこに垣根がないとす るなら、音楽は自然エクレクティックになる。
パンクの記憶/ポップの熱狂を、サウンドシステムの愉悦やパブの敷居に閉じ込めたビーツ・インターナショナル。そして、そこから赤道を越えると、約 10年後、南半球ではアヴァランチーズという宝石が用意されていた。小型で高性能。データ圧縮/管理ならお任せ。なにしろ900以上のサンプルが用意されたのだ。けれど数は重要じゃない。〈楽しい〉ということこそ大事。
そして広角度で緯度を北上、そこにある列島の首都から空を見上げると、ほのかに光る衛星犬が見えるだろう。そうなればしめたもの。僕らは〈俯瞰〉の視点を手に入れる。
さらに、WORLD STANDARDは時をまたぎ、環になって演奏に興じるジャグ・バンドと、マウンテン・バラッドの孤独の間で身がはり裂けそう。そんなアメリカ……。
さて、ふとウクレレの〈ポロン〉に後ろ髪を引かれると、そこは光の洪水。赤道近辺を『World Hits!? Of Southern All Stars』はゆっくりと移動していく。
そして最後はファンキー・ジャズ・グルーヴとターンテーブリズムの出会い。マッドリブの手の内で踊っていたという案配。
気がつけば、ブラザヴィルを聴いて横たわる春の夢。この時差ボケ、当分おさまりそうにないな。
文中に登場するアルバムを紹介。
WORLD STANDARDの99年作『MOUNTAIN BALLAD』(Daisy World)
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