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プロトゥールズは魔法の箱になりうるのか?

近ごろ、その名を耳にすることが多くなった音楽編集ソフト、プロトゥールズ。果たしてそれは、魔法の箱になりうるのか? TSUTCHIE(SHAKKAZOMBIE)に話を訊いてみた。

近年、アーティストへのインタヴューにおいて、かなりの頻度で話題に上る〈プロトゥールズ〉なる言葉。簡単に言ってしまえば、コンピュータのハードディスクに記録された音源データを編集するソフトのことであり、サンプラー的な機能はもちろんのこと、ピッチや音程を変えることも可能な、ミュージシャンに無限の可能性を与えたとされるソフトのことである。そこで、SHAKKAZOMBIEのトラックメイカーにして、ロック・バンド、LO-LITEのプロデュースも手掛けたTSUTCHIEに話を訊いてみた。

「一時期、〈これ、プロトゥールズを使ってるな〉っていう音があまりに多くて、ちょっとなぁ……って思ってたんです(苦笑)。確かに作業効率は上がるし、編集も自由自在にできますからね。革命的といえば革命的なものでしょうし、便利は便利なんでしょうけど、やっぱり、そこは音楽の種類とか使い方の問題、つまりは〈人〉ってことになるんでしょうね。やっぱり、個人個人のリズム感とかグルーヴ感って大事な部分だし、それを編集してしまうってことは、編集するエンジニアのリズムとかグルーヴになっちゃうってことじゃないですか?

こと、ロック・バンドのレコーディングに関していうと、そもそも1曲を丸々演奏できてるのがあたりまえだし、少しのミスだって、時には雰囲気のひとつと考えられるからね。〈そこまででOK!〉って言える勇気も必要だと思うんですよね。それを編集してごまかすまえに、楽器とか歌に精進するべきなんじゃないのかな?とは思います。だって、ロックの人はそれで飯を食ってるわけですからね(笑)。プロトゥールズは確かにすごいけど、自分がミスったところを直してくれるからすごいのか(苦笑)、自分がイメージした音楽を形にしてくれるからすごいのか、〈すごい〉っていう言葉にも幅があるということです(笑)」。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2002年03月21日 06:00

更新: 2003年03月13日 17:06

ソース: 『bounce』 229号(2002/2/25)

文/小野田 雄

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