STANDARDS 64(日本のヒップホップのスタンダードアルバム)(2)
S.P.C.
『Skill Plus Creativity』(ポニーキャニオン)(2001)
原宿のホコ天で活躍していたDJ SEIJIが地元北海道で結成したグループ。リリース後、1週間でショップから消えた自主盤に、新曲を加えてメジャー・リリースしたアルバムだ。全国区に拡がった名曲“Mirage”のポップさと、攻撃的なコスリが渾然一体となった気持ちいい一枚。ニュー・アルバムももうすぐ。 (出嶌)
KICK THE CAN CREW
『YOUNG KING』(UTOPIA)(2000)
山下達郎までもトリコにしてしまった(?)KICKが、メジャー・デビュー前に残した初アルバム。これ以上ない3人の絶妙なマイク・リレーでは、個々の活動で磨いたスキルがぶつかり合う。アゲまくりの“GOOD TIME”からシリアスな“ユートピア”まで、KREVAのトラックメイカーとしてのセンスにも脱帽。(小笠原)
KOHEI JAPAN
『The Adventures of KOHEI JAPAN』(NEXT LEVEL)(2000)
MELLOW YELLOW以外にもFUNKY LEMONADEなどで活動してきたKOHEYがソロ・デビュー。全編に渡って緩急を使い分けたファンキー・フロウを聴かせる言葉の技は相変わらずだが、キエるマキュウ&宇多丸というウヒヒ系MCたちをフィーチャーした“夜の狩人”は……どうしようもなくダメな名曲。(桜井)
SHAKKAZOMBIE
『JOURNEY OF FORESIGHT』(cutting edge)(2000)
神々しいまでに荒ぶる2MCのコントラストは真っ直ぐに空へ延び、TSUTCHIEの荒涼としたビーツは深く響き渡る。“SIX BAR RELAY”ではSUIKEN、XBSらNITROメンバーも参戦。トータルで奥の深い音楽性を滲ませた繊細にして豪快な名作だ。2002年3月には待望のニュー・アルバムも登場する予定。(桜井)
m-flo
『Planet Shining』(rhythm zone)(2000)
精神性をヒップホップに置いて、おもしろいグルーヴを興味のおもむくままに探求する3人組。12インチで注目を集めた後のこのアルバムでは、ポップなタッチのR&Bからドラムンベース、ラップ・チューンまでを自在に遊泳する。バイリンガルMCであるverbalのスタイルが数多の後続に与えた影響は、今後出てくるはず。(出嶌)
キミドリ
『OH! WHAT A NIGHT』(cutting edge)(1996)
93年のアルバム『キミドリ』に続くEP。移ろわない核をもっているからか、いま聴いても古くない。彼らは終わらない夜のアンセムを残して──もう帰ってこないのでしょうか? ともかく個々の活動は順調ですが、DJセットで独自のセンスを見せつけるクボタタケシは、いまこそ、もっとビートを作るべき人。(出嶌)
GM YOSHI
『GROOVE MASTER YOSHI』(FLEXY NATION)(2001)
超絶スキルを武器に、世界に認められたターンテーブリズム・マジシャンことGM YOSHIの初アルバム。あり余るテクニックをひけらかすわけでもなく、ゲストを立てながらキメどころでは絶対にハズさないのが、ホンモノの技。ゲスト・ラッパーにはRhymesterの双頭MCら。最終曲ではコスリ屋8人の斬り合いも!(桜井)
SHING02
『緑黄色人種』(メリージョイ)(1999)
MCを前にしてライミング、フロウといったことが評価の座標となるのは言うまでもないが、ストーリーテラーという座標は少なくとも日本ではいささか曖昧。逆輸入という形でもたらされたこの才能はあらためてそれをボクに突き付けた。その刃の鋭い衝撃は数年たったいまも変わらず。(一ノ木)