NEW REMIX STYLE
アーティストの指向はもとより、オリジナル楽曲の体力が計れるリミックス作品の増加
2001年はリミックス・アルバムのマーケットが確実に一般層にまで定着した年だったといえるのではないか、と。その布石となったのが、98年スタートの〈Puch The Monkey〉シリーズ。「ルパン三世」という世代を超えた大ネタがあってこそ、リミックスの楽しみ方が広く伝わったのは間違いないはず。で、以降、決定打といえる〈Jackson 5 Remixes〉シリーズをはじめ、アイデアと冒険心に富んだ、コンセプチュアルなリミックス・アルバムがリリースされた。原曲と聴き比べて遊び心を感じ、さらに原曲の良さを実感……なんて構図が茶の間レベルにまで浸透してる。文化の成熟……といったら大げさでしょうか?
VARIOUS ARTISTS
『JACKSON 5 REMIXES』(Soul Source/ユニバーサル)
海外アーティストのリミックス盤が日本主導で制作されるという特異性はもちろん、本作がもたらした功績はデカい。コンセプト次第で、洋楽マーケットはまだまだ開拓できるという好例。
キリンジ
『RMX』(ワーナー)
いちばん〈リミックス・アルバム〉とは縁遠そうなキリンジだけど、その存在のニュートラルさ、良い意味での居場所の無さが、これほどにもヴァラエティーに富んだラインナップを実現させたのかもしれない。で、やっぱ元曲がイイんだよと気付かされる聴後感は満場一致。
LITTLE TEMPO
『KEDACO IS BORN』(cutting edge)
日本ポップス史のなかで初の試みといえよう、まるまる1枚が一人の手によってダブ・ミックスされた冒険作。あえて別作品として呈示することでダブのおもしろさを伝えた彼らも、エンジニア魂を存分に発揮した内田直之もエライ!
m-flo
『GRAN SONIK』(rhythm zone)
もともと一言じゃ言い尽くせない音楽指向をもつ彼らだけど、本盤に収められたリミックスは、そのフレキシブルな素養をひとつずつ因数分解的に明かしてくれるような楽しさもある。一般公募作を入れるあたりに、新しいフォーマットを模索する彼らの意欲が。
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