THE NEW ADVENTURE OF HIP HOP
環境と成長、そして作品のクォリティー、あらゆる要素が高レベルでまとまった2001年
2000年後半、衝撃的に登場し、爆発的な人気を得たNITRO MICRPHONE UNDERGROUND。2001年はそのなかから3人がソロ・アルバムをリリース、いずれも高い評価を受けた。一方、RIP SLYMEやKICK THE CAN CREWなどのように、メジャー・フィールドにも活動の幅を広げ、不特定多数のリスナーの獲得に成功、大ブレイクに至ったことも印象的。餓鬼レンジャーやLUNCH TIME SPEAXなどは、地方色を出して全国にアピール、ローカルやインディーの活性化に貢献した。広く見渡せば、さまざまなスタイルのアーティストが登場し、全体的な質の底上げと取り巻く環境の向上が目立った1年だった。
餓鬼レンジャー
『UPPER JAM』(ビクター)
なにが飛び出すかわからない変幻自在のフロウと言葉選びのPOCHYOMKINに対し、正攻法で的確なライミングを武器とするYOSHI。この2人のエネルギーが爆発した大傑作。それを乗っけるトラックも素晴らしすぎ!
OZROSAURUS
『ROLLIN' 045』(FUTURE SHOCK)
レペゼン横浜、OZROSAURUSのファースト。MACCHOの口から発せられるまっすぐな波動を伴ったラップと、その言葉の魅力を最大限に引き出すDJ TOMOのトラック。ゲスト陣の仕事も最高だ。“Rollin' 045”を知らないハマッ子はモグリ。
SUIKEN
『SUIKEN PRESENTS SIXTEEN STARS』(ソニー)
NITROの斬り込み隊長、SUIKENのファースト。言葉遊びに思われるリリックのなかには、いろんな意味が隠されている。リリックからトラックメイカーの起用まで、すべての部分で彼自身のこだわりが感じられるアート・コア。
DABO
『PLATINUM TONGUE』(Def Jam Japan)
今年もっとも露出が多かった、ご存じDef Jam Japanの顔。淀みなく流れる言葉と、タイプもさまざまな粒揃いのトラックの出会いによって誕生した傑作。ハリウッド映画のエンドロールにも使用された、“レクサスグッチ”の最速フロウは必聴!
RIP SLYME
『FIVE』(イーストウエスト)
彼らが、良い意味でヒップホップの枠を越えた広い場所で通用する予感は早くからあった。複数MCによる掛け合いの美をスピード感たっぷりに、そしてなによりも楽しく見せつけてくれた。J-Popという広い括りでも今年を代表する爽快なアルバム。
MACKA-CHIN
『CHIN ATTACK』(Reality)
これまでの活動はもちろんだが、ソロ名義の本作によって、改めてトラックメイカーとしてのすばらしい才能を世間に認知させた快作。鋭角的でリズミカルなラップのほうも冴えまくり、音のマジックとともに引き込まれるすばらしき世界。
TWIGY
『The Legendary』(Mr.Cliftonw)
えん突つレコーディング/東芝EMI すべてに渡って予想不可能なアーティスト、TWIGY。本作を上手く表現する言葉を持ち合わせていないが、それは理解できないということではなく、語る言葉の無意味さに気付くから。“とわ”の深遠な響きになぜか落涙寸前です。
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