JAPANESE ROCK 強固な意志を感じさせ、健康的なロックが(ホント!) たくさん実った、充実の1年
ゆらゆらくるりと軽やかに身を翻すことから始めた、21世紀最初の年の、日出ずる国が生んだロックンロール。ここにセレクトされた22枚には、当然、類似する表現はひとつとしてなく、その充実ぶりは世界に例がないほどに健康的な音楽の在り方を伝えてくれているのではないかと思うことしばし。世相や社会状況の激変に対して、ダイレクトな反応を見せた表現から、あえて反映させることをしなかった表現まで、その幅は多々あれど、大切なのは、それぞれが強固な意志をもって音楽に望むことであると、このセレクションが物語ってはいないだろうか? 音楽を鳴らし続けろ!(小野田)
ゆらゆら帝国
『ゆらゆら帝国III』(ミディ)
これまで大々的なツアーをするわけでもなく、着実にアルバムと決め打ったライヴで人気を広げていった彼ら。サウンドの幅も、本作でこれまで以上に広がった。“ゆらゆら帝国で考え中”のたたみ掛ける歌詞は強力すぎ。(土屋)
くるり
『TEAM ROCK』( スピードスター)
バンドではなく〈TEAM〉が生むロック。形式から自身を解き放つことで生まれた奇跡/軌跡は、自主イヴェント〈百鬼夜行〉から村上隆とのコラボレーションまで、勢いはとめどなく。風切って進む彼らは、しかし、 “ばらの花”の美しさを忘れることはない。(小野田)
GREAT3
『May and December』(東芝EMI )
新緑の東京から極寒のシカゴへ続く長い道のり。野を越え、山を越え、そして、海を越え、3人は手を携えてやってきた。そこで降る雪は、3人のハーモニーを溶けることのない結晶に変えると、ロックンロールを照らす永遠の光を与えた。(小野田)
ブルー・ビート・プレイヤーズ
『EASTERN LEO』(DIWPHALANX))
オーセンティックなスカ、ブルー・ビートを聴かせてきた彼らも、本作ではさらなる音への追求をみせた。ダブ、レゲエ、2トーン、ファンキーなサウンドは、とてつもなく黒さと〈いけないオトナ〉を感じさせる。(土屋)
COALTER OF THE DEEPERS
『NO THANK YOU』(ミュージックマイン)
天使の誘いと悪魔の囁きがせめぎ合う男の才能。その狂気に安らぎを与えるCOALTER OF THE DEEPERSという約束された地。それらを矛盾や分裂と括る者たちは唾棄してしまえ! その断絶こそが恐らくは本作を融和へと導くはず。(小野田)
sapoten
『lounge rock?』(Mule)
乾いた大地と青空を繋ぐ、緑色の太い一本の幹。そのトゲをひょいと抜いたら、あら不思議。ぽんと弾けて、コロコロと、メロとリズムが飛び出した! いざ行こう、坂田学の手の鳴るほうへ。その先に肥沃なオアシスはきっとあるはず。(小野田)
ラブクライ
『I Bring You Down to Underground』(VIBEON/コロムビア)
地下世界へようこそ!と誘っておきながら、着いた先には6人の男たちが魂削った永遠の夏が広がる。揺らぎと熱気とほんの少しの男気を、人はサイケデリックだのファンクだのと呼ぶけれど、まずはうたのゆるみを味わうべし。(小野田)
GOING STEADY
『さくらの唄』(Libra/UKプロジェクト)
突き出した拳がかき乱す甘酸っぱい春の匂い。その切ないムードは過去の記憶に触れ、聴く者の胸を焦がすけど、若者群像とはいつだってそんなもの。あるべき姿があるべき言葉とメロディーで歌われる本作にほっと胸を撫でおろす。(小野田)
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