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BEST J-POP ARTIST

EDITOR'S TALK
パーソナルな視点から発信された作品にときめかされた2001年

EGO-WRAPPIN'
『満ち汐のロマンス』
(Minor Swing/ユニバーサル)

──〈2001年〉という年代に意味をもたせたくないんだけど、たくさんのすばらしい作品に出会えた気がするんだ。落ち着きのあるっていうかさ、地に足の着いた作品っていうか。

キャリアがあって、すでにアルバム数枚をリリースしてるようなアーティストが良質な作品をリリースしていたね。たとえば山崎まさよしやBONNIE PINK、クラムボン、キリンジなどがそうだった。〈生活感〉や〈街感〉と言ってもいいんだけど、パーソナル、でも〈閉じてない〉作品が印象に残っている。ピチカート・ファイヴのジャケットに書かれている〈東京〉の文字やアルバム・タイトルが最たる例で。

──このへんが挙がるってことは、これまでのJ-Pop観に変化があったの? なんか数年前って、もっとキラキラしていたような気がするんだけど。

最近〈ランキング〉系のTV番組を観ていても、すごいことになっているよね。あれってワン・コーラスで曲が変わっていくじゃない? 従来の流れで突然EGO-WRAPPIN'とかが入ってくるとビックリするし。それだけ選択肢は広がったということだよね。以前と比べれば、チャートへの興味は薄くなってきてるんじゃないかな。順位を選ぶ基準にしていないっていうか、リスナーの動きもパーソナルなものになってきたような気がする。

──EGO-WRAPPIN'とLOVE PSYCHEDELICOは良く見かけたし、そのなかでも異彩を放っていた。

どちらもフラットな感じで〈ドカッ!〉と人気を集めたよね。そこで思ったのは、以前と比べて〈雰囲気〉や〈過度な情報〉が機能しなくなってきたってこと。真っ向勝負、威勢のよい姿勢が支持を集めたんだと思う。しかもああいう形の音楽を、ポップスとして消化できるリスナーが増えてきたことはすばらしい流れだね。あれほど濃い背景をもった音楽が成功した例は少ないからね。

──そして三木道三ですが。

日本語だからでしょ! それも難しい言葉じゃなくて、きれいな日本語〈ありがとう、ごめんさい〉レベルで。〈J-Pop〉と呼ばれているけど、これからの展開はそんな言葉遣いが鍵になってくるのかもしれない。ROCKING TIMEもそうだったけど、頭にまわってこないぐらいの、感覚的レベルでの日本語をもっと考えてもいいと思う。

──あとは〈ムードもの〉。関口和之の作品がすばらしかったし、ライヴも目から鱗でしたよ。

コアな音楽ファンからマダムまでが同じライヴを楽しんでた。これまで誰もが実現できなかったことを、一瞬でやってしまった感じだよね。正直、〈南の島の音楽は笑顔で演奏するもんだ!〉なんて、彼の笑顔を見ていて思ったんだ。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2001年12月27日 21:00

更新: 2003年03月07日 19:03

ソース: 『bounce』 228号(2001/12/25)

文/bounce編集部

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