LATIN 大きなブームも一段落、メレンゲが台頭し、 それぞれが新たなものを模索しはじめる
2001年のラテン・ミュージック・シーンは、〈ブエナ・ビスタ〉の大ブームや、リッキー・マーティンの大ブレイクといった、ここ数年あったような大きな動きも一段落して、比較的平穏だった。音楽としてのサルサでは、とくに新しい動きは見られず(ダンスとしては大ブーム!)、替わりにメレンゲが、ストリート音楽としての確固たる地位を築き上げつつある。キューバはどうなのだろうか? 〈ブエナ・ビスタ〉効果で、相変わらず老人パワーは炸裂していたが、キューバン・ヒップホップなどの新しい胎動は、まだそれほど大きくはなっていない。 2002年はそれらに加え、メキシコ・シーンの動きなどにも注目してみたい。
ORLANDO 'CACHAITO' LOPEZ
『Cachaito』(World Circuit)
<ブエナ・ビスタ>のベース奏者、カチャイートの、クールの極みのようなソロ・アルバム。<ブエナ・ビスタ>本体とはひと味違う、静寂のラテン・サウンドは、2001年最大の収穫のひとつだろう。
ELVIS CRESPO
『Wow Flash!』(Sony Discos)
いまのラテン・ミュージック・シーンでもっとも元気のあるメレンゲ。クレスポはその代表的人気シンガーだ。神経質そうな歌声といい、ドロッとしたミディアム・テンポのサウンドといい、かなり毒気が強いので聴くには覚悟が必要。
ISSAC DELGADO
『La Formula』(Ahi-Nama)
恒例となった来日公演も好評だったイサック・デルガド。正統派のキューバン・サルサ・シンガーとして、 2001年もっとも元気がよかったのが彼だろう。この作品で聴かれる、甘くありながらも<いかにもキューバ>といった芯の通ったサウンドはさすが。
SLOWRIDER
『Nacimiento』(BARRIO GOLD)
べックのツアーにも参加していたデヴィッド・ゴメスを中心とする、チカーノ・ヒップホップ・ユニット。前作のミニ・アルバムよりもさらにヒップホップ色が強まったが、在米メキシカンとしての心意気もしっかりと感じる。
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