SOUNDTRACK (OMNIBUS)
サントラという枠を越えて、ますます贅沢な内容に。ジャンル志向の作品も充実を見せた
〈豪華なコンピレーション〉として、すっかり定着してきたサントラ。2001年もまた、〈トゥーム・レイダー〉〈ラッシュ・アワー 2〉でのビッグネームの顔合わせや、〈ムーラン・ルージュ〉でのベックとティンバランドの共演をはじめとするオリジナル新曲など、サントラならではの豪華さと、クォリティーを誇る作品が並んだ。また〈ベンゴ〉〈アメリ〉〈オー・ブラザー!〉など、ワールド/ルーツ・ミュージックをモチーフにしたサントラが健闘したのも印象的。そのなかで〈けものがれ、俺らの猿と〉は、日本のロック・シーンを彩る個性豊かな顔ぶれが揃った強力な内容。音楽シーンとの関係がますます深まった1年でした。
『MOULIN ROUGE』(Interscope)
〈豪華絢爛〉、この言葉のほかにぴったりとくるものはないのでは? 映画本編の時代背景を無視し、時代を超えたラヴソングがメドレーとなってつながる。ベック、ファットボーイ・スリムなどのナンバーが次々と登場。
『VENGO』(Warner France)
ジプシー文化が、映画や音楽などさまざまな形で紹介されることが多かった2001年。そんななか、フラメンコ・ダンサーのアントニオ・カナーレス主演のこのサントラは、胸が詰まるほど情熱的なフラメンコ。ライヴ感たっぷりのサントラです。
『けものがれ、俺らの猿と』(東芝EMI)
個性的な俳優と音楽が刺激的にぶつかり合う本編。そのサントラは、ASA-CHANG&巡礼、ゆらゆら帝国、ロマンポルシェなど、手強いアーティストたちが参加。アヴァンギャルド~ロック~エレポップ……ジャンルを越えて何でもありの技あり!です。
『BRIDGET JONES'S DIARY』(Universal)
全世界の女性の絶大な支持を受け?ベストセラー小説を映画化した作品。サントラもシェリル・クロウから、ガブリエル、アレサ・フランクリンなど、世代/ジャンルを越えた女性アーティストが参加。ひとり泣きしながら歌うのが静かなブームとか?
『CARMEN』(Columbia)
デスティニーズ・チャイルドのビヨンセが女優デビューした〈ヒップ・ホペラ〉のサントラ! 共演陣も豪華でワイクリフ・ジョン、ジャーメイン・デュプリなど。とにかくキャストが歌う劇中歌は、最高にクールな仕上がり。ビヨンセのラップもキュート!
『TOMB RAIDER』(Elektra)
大ヒット・ゲームがスクリーンで大暴れ。ナイン・インチ・ネイルズ、ケミカル・ブラザーズなどの新曲に、U2のリミックス曲と、とにかく贅沢の極み。スピード感溢れるテクノ、ヒップホップのナンバーが一体となってグルーヴを生み出す、ハイブリッドな一枚。
『LE FABULEUX DESTIN D'A-MELIE POULAIN』(Ici d'ailleurs...)
フランス中が夢中になったジャン・ピエール・ジュネ監督の最新作。ジュネが心奪われたヤン・ティルセンによるサントラは、アコーディオンの音色が優しく、ノスタルジックに心に届く。映画との調和もとれた、心地良い仕上がり。
『RUSH HOUR 2』(Def Jam)
ジャッキー・チェン&クリス・タッカーのコンビによる人気シリーズ2作目。デフ・ジャムからのサントラとあって、お抱えアーティストが満載! なんといっても隠し玉の〈新人〉ヒカル・ウタダの参加はかなりの話題に。聴きごたえはピカイチ!
『O BROTHER, WHERE ART THOU?』(Mercury)
大恐慌時代の南部を舞台にコーエン兄弟が3人の脱獄囚の珍道中を描いた本作。サントラはT・ボーン・バーネットが担当。アリソン・クラウス、ノーマン・ブレイクらベテランが最高のパフォーマンスを見せる。〈ずぶ濡れボーイズ〉も最高!
『OSMOSIS JONES』(Atlantic)
実写とアニメのコラボレーション映画である本編はまだ日本では未公開ですが、届けられたサントラを彩るメンツはスゴイ! ブランディーやキッド・ロックの新録曲も収録された本作、これだけのビッグネームの顔合わせはサントラならでは。
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