AMERICAN NEW STANDARD オルタナ以降のUSインディー・シーン、 そのなかで育まれた種が豊かな実りを見せた
ものすごく今って充実してると思う。ええ、アメリカ・インディー・シーンのこと。オルタナ・ブーム以降、そのなかでも商業化するものはどんどんあっち側に行ってくれたので、真摯に取り組んでいるアーティストにとっては自由に自然に臨むことができているのでは。これって80年代からの雰囲気と確実にリンクしています。そこで重要なのは、やはり〈パンク~ハードコア〉。音楽的にもここから影響を受けたアーティストが、さまざまなスタイルで楽しませてくれているのですが、〈やれば自分たちでなんでもできる!〉ってな精神的柱が、ここんとこすごく顕著に現われてきたように思います。(小林)
LOW
『Things We Lost In The Fire』Kranky
唾を飲むことさえも躊躇してしまった来日公演。空気も時間も吸い込んだ真のエモーショナル・スタイルは大きく、美しく、切なく、頼もしく。詰まりに詰まった今だからこそ、3人のシンプルな音はダイレクトに心に響く。(小林)
STEPHEN MALKMUS
『Stephen Malkmus』 (Stephen Malkmus)
90年代にペイヴメントという名の恐るべき批評性でロックに殴り込みをかけた男が、2001年ついにひとり立ち。よろめくような歌声は相変わらずに、見せた素顔のサイケデリア。正体不明の〈歌ごころ〉に笑顔でとどめを刺す。(村尾)
TORTOISE
『Standard Thrill』 (Jocky)
21世紀の夜明けにタイミングよくリリースされたこの新作。シーンに新旧世代交代の予感があるなかで、堂々たる存在感を見せつけた骨太なサウンド・ストラクチャー。そのラウドなオープニングから、亀は足音を轟かせてまた一歩前進する。(村尾)
OWLS
『Owls』 (Jade Tree)
プロミス・リング、ジョーン・オブ・アークの母体だったカップン・ジャズが名前を変えて再集結。ワン・テンポずれた音と一音階ずれた声。交じ合った時のミラクルさは、あまりにもピュアで愛おしくなるほど。周辺バンドの充実さも輝いていた。(小林)
SAVES THE DAY
『Stay What You Are』 (Vagrant)
予想どおり便乗系エモ・ポッピーが増えた2001年。でも彼らは本物。ハードコアから貰った宝を胸に、ポジティヴな唄メロ・センスは止まることを知らず。恐るべきヤングメ~ン! 次世代のヒーロー間違いなし。来日公演でも確認しました。(小林)