BEST AMERICAN NEW STANDARD ARTIST
〈パンク/ハードコア〉の精神を個性的にアピールしたバンドが活躍
LOW
『Things We Lost In The Fire』 (Kranky)
──2001年の代表作品ってことで、ロウを選んでいるけど。
各アーティストがちゃんと歌を聞かせることに終始した1年だったね。それぞれが多感な時期にパンク/ハードコアを通過して、そのスピリットを引き継ぎつつも、自分にフィットする独自の方法でそれを表現してみせた。あえてロウを選んだのは、彼らがいちばん高いレベルでまとめていたから。
──トータスのようなインストとなると、どうも〈=パンク〉には繋がらなくて……。正直、過去の作品には難解なものもあったし……。
ふたつのアプローチがあると思うんだ。ひとつ目は、メロディーに転化させたバンド、セイヴス・ザ・デイやデス・キャブ・フォー・キューティーなんかがそのタイプ。ふたつ目は、サウンドに転化させたバンド、トータスやオウルズがこっちのタイプになるね。
──〈エモ〉やら〈サッド〉やら〈スロウ〉やら、ウンザリなほどにカテゴライズされているけど、結局は〈パンク/ハードコア〉に収束していくってことだね。
しかも、そんなシーンへ多大な影響を与えているバンド、フガジの新作がキッチリと評価されて1年を締めくくった。きれいな循環がおこなわれているシーンなのかもしれない。
──ほかに目立った動きはあった?
スーパーチャンクかな? 彼らはグランジ・ブームのころ、同時に持ち上げられたバンド。でも実際には青田刈りがおこなわれ、沈下していったバンドも多かった。しかし、彼らは順調に成長して、さらなるピークを迎えている。頼もしくもあり、嬉しくもあり。それを受け入れたアメリカのシーンもすばらしい。
──〈american new standard〉と謳うからには、今後に続く流れなんだよね? 一過性のものじゃなくて。
力強い流れではある。どのバンドの主張もしっかりしているし、メディアも過剰に持ち上げたりしてないから、両者の安定した信頼関係が築き上げられている。
──で、具体的な2002年の展望ってことになるんだけど……。
歌を聞かせることが大前提で、テクノロジーを効果的に使用できるバンドがさらに増えると思う。全世界的な流れなんで、どこからスゴイのが出てくるのかはわからないけど。
──〈エモ〉って聞いて思い出したんだけど、ヘヴィー・メタルっぽいよね? メロディー・ラインとか。
それぞれ影響はされてるんじゃないかなー。しかもヘヴィー・メタルのサウンドをモロに踏襲しているハードコア・バンドとかも今年は目立った。いまだ水面下だけど、2002年の大穴ってことで。
──ギョエーッ!!