ROCK (その2)
MOGWAI
『Rock Action』 (South-paw/PIAS)
延々と繰り返されるリフレインに退屈と欠伸は抹殺される。モグワイの音に巻き込まれたら日常の皮膚感覚は麻痺し、現実の異次元に放り出されてしまう。〈トリップ感〉なんていうと簡単だが、モグワイの世界にお手軽な安心なんて存在しない。(米田)
SKRAPE
『New Killer America』 (RCA)
パンテラの鋭角サウンドとコーンの楽曲構造をゴチャ混ぜにした、誰もがやりそうでやらなかったヘヴィー・メタル。若さゆえの猛烈なエネルギーとキレ味バツグンのギター・リフが、渾然一体となって襲いかかる。荒削り感がたまらん。(永地)
ANI DIFRANCO
『Revelling/Re-ckoning』(Righteous Babe)
とどまることを知らぬ創作意欲が咲かせた大輪。CDの収録時間が許せば、よりとんでもない世界を作り出したりしたのでは、なんて想像を抱かせる坩堝2枚組。〈フジロック〉の颯爽たるステージが目に焼き付いて離れない。(桑原)
RAGING SPEEDHORN
『Raging Speedhorn』 (Epic)
純度の高いアルコールで暴走するヘヴィー・グルーヴ。拍車をかけるのは2人の野獣。こいつらの咆吼には小便チビった。英国産のヘヴィー・ロックは、ヒップとは無縁の熱血ツイン・ヴォーカル・スタイル。もっさり感がたまらん。(永地)
RADIOHEAD
『Amnesiac』 (Record Maker/Capitol)
来日公演の感動がまだ覚めやらない。レディオヘッドは世界のトップ・バンドのひとつとなっても、前進することを忘れず、常に音と格闘し続けている。独自の空間は不安定に揺れているようで、しっかりと照準は定められているのだ。(米田)
TOOL
『Lateralusd』 (Jive)
まるで曼陀羅のように神秘的な模様を描くダークな音渦。〈オズフェスト〉に出演を果たしたとはいえ、そのサウンドはヘヴィー・ロックの枠だけでは語れない。徹底した美意識に貫かれた苗場のステージは、すでに伝説となった。イッちゃってる感がたまらん。(永地)
TRAVIS
『The Invisible Band』 (Indipendente)
前作でトラヴィスは自分たちの道を創った。内省的なバラード、メランコリックな曲調でみんなの胸を切なくさせた。今作ではそれだけではなく、さらにカラフルでメロディックなサウンドで、UKロック・シーンを華やかに飾った。(米田)