Rock ロックのダイナミズム、そしてなにより歌を大切にした作品がメインストリームを彩った1年
世界各地に散らばった〈ロック〉の欠片。ウンザリすることも多かったけど、結果的に愛嬌満載のアルバムが連発し、2001年は良作に恵まれた。セラミック樹脂のような味気ない音ではなく、体温の通ったプリミティヴな音。US/UK問わず、どのバンドも歌を大事にしていることが、2001年のシーンの大きな特徴だと思う。スリップノットの絶叫に垣間見える繊細なエモーションも同様。また、米国主導のシーンにおいて、その神通力が若年層にも影響を及ぼしたニュー・オーダー、意表を突くアイデアに誰もが唖然としたゴリラズ、彼らの抱きつきたくなるような愛くるしさも素敵だった。(永地)
LINKIN PARK
『Hybrid Theory』 (Warner Bros.)
おたく的なメンタリティーと知的な雰囲気。メタリカからエイフェックス・ツインまでを許容範囲にもつ新世代の顔。ムサ苦しいだけのラップ・メタルに潤いを持ち込んだ彼らの功績はあまりにデカい。(永地)
DAVE MATHEWS BAND
『Everyday』 (RCA)
控えめな佇まいが、ちょっと〈王道アメロック〉のイメージと結びつかなかったが、この新作での地に響く鼻息を聴き取ってから、やっとなにかが繋がった。鼻息・トゥ・ザ・トップ。今はとにかくリアルに感じられて仕方がない作品だ。(桑原)
DROPKICK MURPHYS
『Sing Loud, Sing Proud!』( Hellcat/Epitaph)
団結心・友愛のツールとして鳴り響くボストン発のストリート・パンク。アイリッシュ・フォークも採り入れ、民衆の視点で描かれる歌詞は説得力増加。男泣き必至の“Forever”は、そのソウルフルな歌声がたまらん。(永地)
SHEA SEGER
『The May Street Project』(RCA UK)
情念をブレイクビーツに乗せスイスイと。ここには現代っ子の開き直りがない。あるのは、女の子の空翔ける想い。唇を尖らす仕種が男の何を誘うのかさえまだ知らない、そんな初々しさがときめきを誘わずにはいられないデビュー作。(桑原)
AEROSMITH
『Just Push Play』 (Columbia)
このビリビリの応酬こそエアロなり。時計をも狂わすようなロック波動が何度も硝子戸を震わせた。リズム・ヴァリエーションが豊か、なんて些末なことを言ってもしょうがない。巨大ダコの滑り気と岩石のごつごつ感が共存した作品って感じ。(桑原)
GORILLAZ
『Gorillaz』 (Capitol)
はっきり言ってゴリラズのここまでの大躍進を誰が予想できただろうか? ブラーのデーモン・アルバーンを中心としたお遊び的覆面ユニットのはずが、アメリカではブラー以上の成功。オートメイターを含む、仕掛け人たちの豪華さも話題に。(米田)
MANIC STREET PREACHERS
『Know Your Enemy』 Epic
いつの間にか国民的バンドと奉りあげられてもそれに甘んじることなく、彼らは攻撃を仕掛ける。デビュー時を彷彿させる暴力的なギター・サウンドに、血液が思わず逆流。〈フジロック〉でも堂々たるステージングを見せてくれた。(米田)
- 前の記事: BEST ROCK ARTIST
- 次の記事: ROCK (その2)