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BEST CROSSOVER ARTIST

EDITOR'S TALK その体温差が微妙にリスナーを分けた、分けられないシーン

4HERO
『Creating Patterns』
(Talkin' Loud)

──で、その〈キャラクター〉の話から……。

待って待って。順を追って説明していくと、〈future soul crossover〉の項で紹介しているアーティストも、本来はフロア出身なわけ。 だから、これらの作品はフロアで聴くことができるし、かつ、家でも聴くことができる。まあ、言ってみれば、どんな音楽だってそうだから、範囲限定で。

──その〈範囲〉すら、いまやボンヤリとしたものになったと。

本来なら、線は引けないんだけどね(笑)。〈future soul crossover〉のほうは、いちおう、ブロークン・ビーツ、フィラデルフィアもの、新しい息吹を感じるジャズやフォーキーなのをとり上げてる。外れてしまったけど、ヴィクター・デイヴィスも素晴らしかったし。

──サウンド・スタイル以外の理由は?

あとは、彼らのルーツである、ジャズやソウルやファンク、ダブなどの流れで語ることができる音楽だってこと。〈汗っぽい〉っていうか、〈グルーヴ〉っていうか……。曲によっては4ヒーローも、ビートを前面に出さずに、いかに〈グルーヴ〉を出すか?みたいなチャレンジをしているからね。

──でも、そんなアプローチを〈クロスオーヴァー〉と呼ぶのも、なんか違う気がしてきた。

そうだね。言葉本来の意味ではなく、〈クロスオーヴァー〉っていうカテゴリーって感じだね。

──いっぽうの〈new electronic strangers〉だけど。

文系の白っぽいものでまとめてみました(笑)……って言うのは冗談で。グルーヴとかヴァイブじゃなくて、雰囲気のある音像を作り出すことに重きを置いてるような作品。括りかたの強引さゆえに、エールやアヴァランチーズもあるんだけど……。大きな動きとしては、ドイツとかアイスランド、アメリカのマイアミがエリア単位で強引に見れば元気だったかな。作品単位でいえば、イヤードラムやリチャード・ディヴァインが白眉。

──で、キャラクターの話はいつになったら……。

そうそう、前に挙げたダフト・パンクやエイフェックス・ツインの高支持も、彼らの音楽はもちろんのこと、明確なキャラクターの露出が勝因の一部。もともと匿名性の強い音楽だったテクノ周辺なんだけど、この5年ぐらいでその価値観は薄くなってきてる。

──あとはロック・リスナーの流入も、最近は顕著だよね?

以前のロックが持ち得ていた〈刺激〉みたいなものを、ここに求めているのかもしれないね。〈異端〉を探しているっていう……。そんな意味でいえば、リチャードD・ジェイムスは強力なアイコンと成りうるからね。

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2001年12月27日 21:00

更新: 2003年03月07日 19:03

ソース: 『bounce』 228号(2001/12/25)

文/bounce編集部

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