TECHNO 安定感十分のベテランと、新しい息吹とが交錯! 80年代テイストも強い支持を集めた
〈テクノ〉と括れる作品のリリース量は多く、非常に活気があったと思う。と同時に、ジャンルのクロスオーヴァー化が進んで混沌とした状況もあった。が、もはやなにが外側でなにが内側かなんてことは問題ではなく、そこかしこに蒔かれた種が十分に育っていたことのほうが重要。まあ、そんななかでテクノ・シーンを支え続けてきた10年選手の頑張りも目立っていたと言える。第一線を常に走り続けているベテランの力には感服せざるを得なかった。またドイツのニューウェイヴ・リヴァイヴァル的な動きは80年代サウンドへの再考を促すきっかけともなり、かなり楽しませてもらった。この続きが興味深い。
RICHIE HAWTI
『DE9: Closer To The Edi』(Novamute)
このテクノ超人にはしてやられました。なんと100以上の楽曲を分解→再構築→再解釈→編集しちゃってるんですから。単にDJミックスとは呼べないほどのショックです。彼は常に前人未踏の境地にいることを再確認。
BEROSHIMA
『Pop』(Mulle)
勢いのあったドイツ・テクノ・シーンの2001年を代表する、フランク・ムラーのプロジェクト。ニューウェイヴ、エレクトロを意識した音ながら〈懐かし~、恥ずかし~〉にならないのは、ドイツの乾いた感覚があればこそ。その蘇生術は見事でした。
THE ORB
『Cydonia』(island)
チルアウト・マスター、アレックス・パターソン率いるオーブの復活作は、混然とした前作から一歩抜け出したようなストレートなトリップ感が良かった。女性ヴォーカルを使ったポップな入口から徐々にダビーでサイケな深みへ導かれたらそこはもう……。
DJ SHUFFLEMASTER
『EXP』(Tresor)
日本が誇るミニマル・クリエイターのこの初アルバムがトレゾーから出たってことは、中田がセリエAで活躍することと同じくらい嬉しいんであります。緻密かつ豪快に疾走していく彼のサウンドは、まさに世界レベルだということを証明してみせた。
HERBERT
『Bodily Functions』(Soundslike/!K7)
果たしてコレはハウスかテクノかなんて疑問も陳腐になるほど、各方面に波及した話題盤。淡々としたリズム・トラックにジャズの生演奏が有機的に絡み、ダニ・シシリアーノのヴォーカルが加わってマジックは起こった。はからずも時代を象徴する逸品。
ORBITAL
『The Altogether』(London)
ハートフルな〈ハゲ〉兄弟によるベテラン・ユニットの6作目。ポップなエンターテイメント性が刺激的に爆発していて、精力を盛り返した傑作となった。テクノ好きというかシンセ好きにはやはり彼らはハズせない。信頼度はさらにアップ!
IAN O'BRIEN
『A History Of Things To Come』(Peacefrog)
デトロイト・テクノ、とりわけURへの憧憬からスタートした彼も、この3枚目のアルバムで完全に自分のエレクトロニックな世界観を創り上げた。テクノとジャズをフュージョンさせた瑞々しい音の輝きはジャンルレスにファンを増殖。