R&B (その2)
BILAL
『1st Born Second』(Interscope)
ソウルクエリアンズ周辺から登場したオーガニック・ソウルの奇才シンガー。プリンスの<ドロ味>を受け継いだようなフリーキーなスタイルがとてつもなく衝撃的だった。ドクター・ドレともコラボレートという予想外の展開も。レゲエもやっている。
SILK
『Love Sessions』(Elektra)
メジャーでは数少ない超正統派のヴォーカル・グループ。キャリア9年で、これが4作目。タイトル数を重ねるごとにヴォーカルが濃くなるのだから恐れ入る。 2000ワッツ一派に我が身を託し、歌バカに徹する姿勢は並外れた歌唱力があってこそ。ソウルな傑作。
AALIYA
『Aaliyah』(Blackground/Virgin)
5年ぶりの新作を手にしたファンの誰が予想できただろう。いまとなってはこれがラスト・アルバム。ティンバランドやスタティックらが作る革新的なトラックに乗る彼女の歌声は、美しいを通り越して鬼気迫るものがある。こんな傑作を残して……。
USHER
『8701』(Arista)
音源の流出トラブルに見舞われながらも、作り直せばこれが大傑作、の3作目。ジャーメイン・デュプリをはじめ、ジャム&ルイスやネプチューンズらによるトラックは恐ろしいほどの完成度を誇る。 “Pop Ya Collar”ならぬ<ポップなカラー>が全開な、現代R&Bの理想形。
JAGGED EDGE
『Jagged Little Thrill』(So So Def/Columbia)
オーソドックスな体裁をとりながら、南部の<イマ>を伝えてくれた熱い一枚。リュダクリスやトリーナの客演も南部感を高めるが、ネリーが絡んだ“Where The Party At”などアップでのバウンスぶりが激サウス。バラードのトロけ具合も最高だ。
MARY J. BLIGE
『No More Drama』(MCA)
すっぴんから厚化粧のメアリーへ。トラックも、今作ではドクター・ドレによる“Family Affair”をはじめ、ネプチューンズ、スウィズ・ビーツらの制作曲など、ボトム太めのファンク感を湛えたものが中心。女王の風格で魅せる、聴かせる。
MACY GRAY
『The Id』(Epic)
本能の赴くままに作ってしまったかのような暴走ぶりが楽しいセカンド・アルバム。なんたって総轄役はリック・ルービン。クエストラヴなどクセ者のゲスト陣による人力演奏もごっつい感触だ。ヘルムート・ニュートン撮影によるジャケット写真も話題に。
MICHAEL JACKSON
『Invincible』(Epic)
キング・オブ・ポップの生還作。ロドニー・ジャーキンスらの豪華制作陣が、持てる力を最大限に発揮してマイケルをお出迎え。アルバムには80~90年代のMJ的魅力も網羅されて、各国チャートでも健闘中。やっぱりみんな、彼を待ってたんです。
FAITH EVANS
『Faithfully』(Bad Boy/Arista)
ふたたび絶好調なバッド・ボーイから、生え抜きシンガーによる3作目。周囲の環境が変化しても、切なげなフェイス節は変わらない。バッド・ボーイらしい大ネタ感も十分。ヒップホップ・ソウルという言葉はフェイスの中では永遠だ。