HIP HOP (その2)
ST.LUNATICS
『Free City Fo' Ree』(Universal)
2000年にもっともブレイクしたラッパー、ネリーもメンバーとして名を連ねる、セントルイスの注目クルー。魔術的なループを駆使したトラックを軸に、大人数による出入りの激しいラップは、耳を洗脳するような中毒性をもって迫ってくる。
CANNIBAL OX
『The Cold Vein』(Def Jux)
元カンパニー・フロウのエル・Pがプロデュース。闇空間の中で幾重にも広がるサイバー音像は、ヴォーダルとヴァストの声が乗って鈍い輝きを放ち続ける。 SF的な未知との出会いを体感させる完成度に、地下/地上の位置付けは不要なわけで。
P.DIDDY & THE BAD BOY FAMILY
『The Saga Continues... Bad Boy』(Arista)
裁判も終わり、名前も変えて再出発。頂点に立った一時期の勢いは健在か?と、注目を集めた復帰作は、問題なくヒットを記録。これからもまだまだ武勇伝が続き、その新たな1ページはここから始まることをファミリー総出で力強く宣言。
LISA "LEFT EYE" LOPES
『Supernova』(Arista)
TLCから、ほかのメンバーよりひと足お先にソロ・アルバムをリリース。メンバーきってのじゃじゃ馬レフトアイだが、アルバムでは、〈TLCの〉という冠が不要なガチンコ勝負を展開。亡き2パックを相手に好試合を見せつけた曲も忘れ難い。
JERMAINE DUPRI
『Instructions So So Def』(Columbia)
アトランタのスーパー・プロデューサー、JDの2枚目。普通なら嫌味な金持ち自慢も、これまでの彼の実績、実力の前には溜め息まじりに頭を揺らすばかり。時代の要求にも敏感に反応し、それに応じた作品作りができるあたりもJDならでは。
ADAM F
『Kaos』(EMI)
UKのドラムンベースという、違う土壌で育ったアダムという名の熟したリンゴ。基本的な味覚部分は世界共通ながら、細部でみずからのテイストも加えた魅惑の一枚。お披露目済みだったLLクールJとの曲を筆頭に、思わず唸るメンツ選びも味の決め手。
JA RULE
『Pain Is Love Murder Inc.』(Def Jam)
2パックのワナビーだ、とか、DMXの二番煎じ、なんて言われたのも、今は昔。前作あたりで評価を高めつつあったジャ・ルールのサード・アルバム。得意の女性ヴォーカルをゲストに迎える路線も含め、芸風の広がりを示した大ヒット作。
COO COO CAL
『Disturbed Infinite』(Tommy Boy)
中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーから、各州対抗プロジェクト自慢で、見事全米1位に輝いたクー・クー・カルのサード・アルバム。耳に残るキャッチーなフックと、南部の影響も感じさせるねっとり気味のラップも大きな特徴のひとつ。
FUNKY DL
『Blackcurrent Jazz』(Washington Classics)
ケツで跳ね上がる鋭角的なフロウを武器に、これまでのUKラッパーのなかでは例にないほどの好セールスを記録。ウルサ型のジャズ親父も顔負けの、厳選したネタ選びへのこだわりと処理能力の高さも人気の秘密。心にあったかく響く一枚。