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BEST HIP HOP ARTIST

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2001年12月27日 21:00

更新: 2003年03月07日 19:03

ソース: 『bounce』 228号(2001/12/25)

文/bounce編集部

EDITOR'S TALK ループの気持ちよさを確認させるサンプリング・トラックが再浮上

JAY-Z
『The Blueprint』
(Roc-A-Fella/Def Jam)

──さて、2001年のヒップホップだけど、筆頭にジェイ・Zが挙がっているのは、デカイのが順当な位置に収まったと考えていいの?

その理由の前にここ数年の流れを言うと、打ち込みでトラックを作るスウィズ・ビーツや南部の連中が中心にいて。それは、99~2000年にピークを迎えているんだけど。しかし、最近ふたたびサンプリングが注目されていて……それが決定的になったのが、ジェイ・Zのアルバム『The Blueprint』だってことで妥当に選んだ感じ。ジャクソン5の大ネタを使ったシングル“Izzo(H.O.V.A.)”もそうだけど、アルバム収録曲のサンプリング・ソースもシブいソウルものばかり。復調してきたP・ディディーとかRZAなんかも、別な方向から別な手法で近い位置に辿り着いてる気がする。

──以前のサンプリング全盛期が一周して、ふたたびやって来たって感じ?

う~ん、昔DJプレミアがやっていたような、クリアランス対策として、ネタがバレないように細かく刻んで構築していたトラックとは違うし、懐古的なものじゃないんだ。ジェイ・Zに関しては、ネタの質感もあいまって、純粋にイマのループの気持ちよさを楽しめるしね。シブいだけじゃないアタックみたいなのも強いし。それはあとで説明するドクター・ドレの『2001』を通過したことが大きいんだけど。

──じゃあ、サンプリングと打ち込みの流れが同軸上に流れている構図が今回のジェイ・Zをきっかけに変わっていくのかな?

ジェイ・Zに続く流れができるかどうかはわからないけど、ほとんどの人はクリアランス料が払えないし、同じような大胆なやり方はできないと思う。それに、次頁で選んだ顔ぶれを見ても、イヴは打ち込みの流れだし、エイトボール&MJGは南部の先端、 KRS・ワンはこれまでのスタイルを頑固に継承、セント・ルナティクスは地域的なオリジナリティーを深く追求……と、それぞれが質の高い作品をリリースしてるから、〈どれか?〉ということではなく多様なスタイルが共存していく。なくならないほど個々が強力だからね。

──あとは西海岸。元気だよなー。

今回選んだなかで、ドクター・ドレが絡んでいる曲は少ないけど、『2001』の影響力はやはりデカい。西海岸の作品も昔のファンク感と、いまの〈シンプルでループが気持ち良い〉って部分が上手く混じっておもしろいね。

──聴く側としては、うれしい限りですな。

もう、背景なしで純粋に音の気持ち良さを楽しんでいい時期じゃないかな。元気なキッズなら、それこそパンクを聴く耳で豪快な南部モノとか楽しんでいいだろうし、エレクトロニカといっしょに聴けるものもある。あと、クー・クー・カルみたいな地方モノは今後もやっぱり注目ってことで。

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