DANNIEL CROWES - グロテスクな人間描写から少女漫画までを横断する異能の漫画家
日本においては及川正通と古谷実がシェアを独占している歯グキ描写のインパクトで、ダニエル・クロウズを意識したのだ、僕は。それは唇からはみだすグロテスクな人間の本質。
1961年、シカゴに生まれた彼は、子供時代に触れた古き良きポップスとロバート・クラムのコミックの衝撃を引きずり、80年代半ばより、人間の暗部を原色のネオンで照らすような作品を発表。
90年代中ごろには流行(モンド)とフィットしたのか、日本でも彼の画を見る機会が増えたが、独身男の赤裸々な歯グキをフィーチャーした『Las Vegas Grind』(ヌードダンス用音楽集)のジャケが、サブ・ポップ系アーティストに提供したものより、とりわけ目を引いた。そのころにはもう彼の作品から歯グキは消えつつあり、新しい詩情を見せ始めていたのだけれど、小道具やパッケージへのこだわりは相変わらず。準備中と噂に聞くタイニー・ティム・ボックスにどんなふうに関わっているのか、そしてタイニー・ティムの立派な歯グキをどうあしらうのかも楽しみなところだ。
ダニエル・クロウズのイラストが用いられたコンピレーション『Las Vegas Grind Part.2』(Crypt)