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特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2001年12月20日 10:00

更新: 2003年03月07日 18:56

ソース: 『bounce』 227号(2001/11/25)

文/大漉 高之

独特のタッチで孤独な若者たちを描く、インディー・ロック・シーンにもっとも近い作家、エイドリアン・トミーネ

ロバート・クラムを源流に、ヘルナンデス・ブラザーズ、ダン・クロウズ、クリス・ウェアという充実した世代を間に挟んで、現在、期待の若手コミック作家としてもっとも注目されているのが、ここで紹介するエイドリアン・トミーネである。彼が広く音楽ファンの間でも知られるようになったのは、ウィーザーのプロモーション用ポスターと、イールズの一連の諸作品。

「イールズとの出会いは『Electro-Shock Blues』のブックレット用に依頼されたイラストからなんだ。そのうちEと仲良くなって電話で話したりしているうちに『Dasies Of The Galaxie』のブックレットを手掛けることになったんだ。彼とはいまでもすごく仲がいいよ。彼はよくツアー先から頻繁にメールをくれるし、なによりお互いブラックな笑いのセンスが好きだから、妙に気が合うんだ」。

本人がギター・ポップのファンということもあって、この2つのバンド以外にも、Kのアーティスト、ソフティーズやクラブス、アイズラーズ・セットなどから、意外なところではダンス・ホール・クラッシャーズなどのジャケットも手掛けている。ちなみに彼のフェイヴァリットはヨ・ラ・テンゴらしい。

彼の作品を見ていて、まず気が付くのがイラストの線がどこかアジア風なところ。とくに顔の造形はアメリカン・コミックの系譜ではなく、かといって日本のマンガでもなく、どこか大陸アジアの匂いが強い。そして、ストーリーの特徴は、ずばり〈ディスコミュニケーション〉。たとえばエイドリアンの師匠筋にあたるダニエル・クロウズの「Ghost World」の主人公が、コミュニティーのなかで孤立しながらも居場所を探し、コミュニケーションに一縷の可能性を求めるのに対して、エイドリアンの描く登場人物の多くは、コミュニケーションに多分の期待をもっていないというのが最大の特徴だ。この傾向は日本の20代と30代との世代間ギャップに近いところがあって、なかなか興味深い。

【エイドリアン・トミーネ】
74年にカリフォルニア州サクラメントに生まれる。兄がもっていたコミックを読み影響を受けた彼は、16歳のころに本格的な創作活動をはじめ、17歳で「Optic Nerve」(ミニ・コミック版)を自費出版。アメリカのタワーレコードのフリーペーパー「Pulse」誌でも連載をはじめる。その短編小説のような文学性とモダンな画が評判となり、やがて雑誌に彼の作品が掲載されるようになった20歳のころ、「Optic Nerve」(レギュラー版)でメジャー・デビューを果たす。「Optic Nerve」の初期作品をまとめた「Sleepwalk」の日本版が、2002年春刊行予定

エイドリアン・トミーネのイラストを用いたアルバムを紹介。

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