こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

特集

カテゴリ : フィーチャー

掲載: 2001年12月20日 10:00

更新: 2003年03月07日 18:56

ソース: 『bounce』 227号(2001/11/25)

文/村尾 泰郎

カワユクもグロテスクな世界はまさに唯一無比。ビル・フリゼールとのコラボレーションもこなす、オルタナ・コミックの異才ジム・ウードリング

「子供のころ、夜、ベッドに横になっていると、親が私の部屋に入って来て、私を殺そうとしたことがあった。それ以来、この世界は私にとってとても危険で、決して油断できない場所になったんだ」。

いま、アメリカのコミック・シーンにおいて、間違いなくもっとも奇妙で、才能溢れる漫画家ジム・ウードリングは、そう告白する。言葉は一切使われず、どこともわからぬ異世界で不思議な事件が繰り返される彼の物語。そこには子供のころの悪夢や憧れが、いまだ色褪せることなく(さらに鮮明に)投影されているのだ。

「この世界はモンスターでいっぱいだよ。昆虫はモンスターだし(神よ、彼らを小さくしてくれたことを感謝します!)、鳥や猫もそう。でも僕は、むしろ彼らを愛してるんだ。映画に出てくるゴジラやフランケンシュタインなんかを怖いって思ったことなんてない」。

そんな奇妙なジムの世界は、ミュージシャンたちの好奇心をも捉えたが、なかでもジャズ・ギタリスト、ビル・フリゼールとは親交を深めることに(「ビルと私は、ともに自然の美しさや、神秘、無限の郷愁といったものを追求している仲間なんだ」)。もっとも彼自身も音楽には造詣が深く、エリック・サティから、キャプテン・ビーフハート、デューク・エリントンにヨ・ラ・テンゴまでとフェイヴァリットはさまざま。コミックを描くときにはフィリップ・グラスをかけているとか。

「ミュージシャンも漫画家も、多くのアーティストは未来の友達のためにメッセージを残してきた。私はコミックを通じて、人々と永遠に生命を共有できれば素晴らしいと思うよ」と語るジム。もちろん彼にはそれができる。とても理想的な形で。

【ジム・ウードリング】
1952年にロサンゼルスに生まれる。小さいころから、幻覚や幻聴に悩まされるほど、多感な少年期を送った彼は、8歳のころから、ひとりで絵を描き始める。高校卒業後は、清掃夫、アニメーターなど、職を転々としながら、80年ごろから自費出版で漫画を描くようになる。そして86年「Jim」で、本格的にデビュー。そのポップな色彩感覚とシュールリアリスティックな物語世界が話題となる。以来、代表作「Frank」シリーズなど、現在に至るまで、数十冊のコミックを発表している。またコミックの出版とともに個展なども頻繁に開いており、ヨーロッパを中心に高い評価を得ている。今年12月には、個展に合わせて初来日する予定。


ソウル・コフィン「El Oso」(Slash)


グリフターズ「Ain't My Lookout」(Sub Pop)


ジェリーローラーズ「The Jerry Rollers」(Motorhome)

ジム・ウードリングのイラストを用いたアルバムを紹介。

インタビュー