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特集

モダン・ポップの〈モダン〉ってなんやろ?

カテゴリ : ピープルツリー

掲載: 2001年12月13日 22:00

更新: 2003年03月07日 18:51

ソース: 『bounce』 227号(2001/11/25)

文/ボブ透山

ホール&オーツ、そのサウンドを形容するときにかなりの使用頻度で登場するのが〈モダン〉という言葉。ホール&オーツ、と聞いて〈ヒゲのほうって、なんて名前だっけ?〉と問うような無邪気さであえて問いたい疑問が〈モダンって、なんだっけ?〉。

モダン、直訳すれば〈現代的〉。70年代後半から、ポップスのフィールドで呟かれるようになったこの言葉は、まずイギリスから生まれた。たとえばロキシー・ミュージック。彼らが持っていた、都市の匂い、風俗としてのアヴァンギャルド(=ブライアン・イーノの羽根飾り)、そこから生まれる洗練はまさに〈モダン〉のエッセンスだ。スパークスもイギリスで初めて、そのキャンプさ、ポップさが認められた。そして〈モダン〉は、ロン・メールのノンシャランスな細い髭から、ジョン・オーツの太い髭へ……ブライアン・フェリーが憧れたアメリカへと海を渡る。思えばホール&オーツのアルバムの日本盤で最初に〈モダン〉という言葉が帯に踊ったのは、79年作『X-Static』だったか。ラジカセをビニール袋で包んだそのジャケは、まさにモダン・アートとしての意匠をもっていたし、同時期にイギリスでリリースされたバグルス“Video Killed The Radio Star”(ラジオスターの悲劇)のサウンド/ジャケットと共通する未来感があった。このころのオーツの髭は、そこはかとなくゲイ・カルチャー=クラブ・カルチャーを匂わせている。そして、やってくるモダンの時代=80年代。この時代、都市はとても特別な存在であり、みんながそこから情報を受け取り、オシャレに憧れて、モダンをめざした。カーズは〈モダン〉と〈アーバン〉を巧みなハンドルさばきで乗りこなした。でも、モダンが〈ナウ〉になるころ、なにかが少し失われた。そして世界中がNYやトーキョーみたいになった90年代にはすっかりモダンという言葉は影を薄めてしまったのだ。それはモダン焼きの〈モダン〉の意味が、いまとなってはわからないくらい、人々の記憶から、感覚として遠いものとなってしまった。伝え聞くところでは、最近、ジョン・オーツはその髭を剃ったとか。だとしたらそれは少しばかり象徴的だ。ほんの少しばかり。


ホール&オーツの79年作『X-Static』(RCA)

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