新・自作自演派シンガーたちが奏でるレディー・ソウル
SUNSHINE ANDERSON
『LIL MO Based On A True Story』Elektra(2001)
自作派=オーガニック系となりがちな昨今、リル・モーは自作自演のもうひとつの在り方を示す代表格。さまざまなアーティストの膨大なヒットに、ソングライティングやヴォーカル・アレンジメントで関わってきた小さな天才だ。美麗なバラードからGな大ネタ使いまで、歌の演じ分けもじつに上手く、堂に入っている。
KANDI
『My Name Is Kandi』Columbia(2000)
説明不要のメロディー・メイカーにして、バウンシーな変則ビートにヴォーカルをどう乗せるか、というお手本になったヴォーカル・アレンジャーでもある。彼女の閃きなくしてTLCやデスチャが時代の先頭に立つことはできなかった。この初ソロ・アルバムも先鋭性とポップさが同居した傑作になっている。
LINA
『Stranger On Earth』Atlantic/イーストウエスト(2001)
UKを中心に人気が出て、いわゆる逆〈アトランティック・クロッシング〉した本作に、内容がビミョーに変わった日本盤が登場。ジャズやソウルのネタを多用したサウンドはハイセンスだが、そのプロデュースやソングライティングも彼女自身によるものだから恐れ入る。シンガーとしての独自性にも注目したい新鋭。
TONI ESTES
『Two Eleven』Priority(2001)
シンガーとしてより先にホイットニー・ヒューストンらに曲を書き下ろすなど、ソングライターとして活動してきた人。本作にはテディー・ライリーら豪華プロデューサーを迎えてはいるものの、自作による品のいいメロディーがあくまでも真ん中で響く作りは、イイ意味で素敵な小品といった味わい。
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